第23話 深夜の惨劇
深と静まり返る
所々に
要所にはもちろん
今の
そんな
音もなく
ギャー! ギャー! ギャー! ギャー!
「どうしたの? パイシャオ、安心して。大人しくしてちょうだい」
寝台の脇に据えられた
隣に寝ていた
「なのか起きたの?」
「分からないわ。もう少し様子をみて何もなければ、改めて寝ましょう」
僅かな灯りの中で、不審な人影は屋敷の奥へと歩を進める。
すると深夜にも関わらず、不意に赤ら顔の家人が廊下に踏み出す。
手持ちの
見間違いかと確認のため、その後を追う。
「お――い! 誰かいるのか」
一声掛けて、廊下の角を折れる。
すると……。
グゥガガガガァ――!
声にならない叫び声が、静寂な闇夜を切り裂くように響き渡る。
その必死の断末魔は、
「ヤッパリ何かが起きてるみたいだわ」
「
「
「わたしは状況を確認しに行くわ」
警備の衛士や母屋の各所から、軽武装した者が飛び出してくる。
向かう先には、既に武装した者が数名集まっている。
「どうなっている?」
背後から、
「どうやら、何者かが邸内に侵入した模様です。侵入経路は判明しておりませんが、
「刺殺されたのは……」
視線を向けると、
「
「鋭利な刃物で喉元を一突き。不意を突いたのか、余程の
すると、ハッと思い付いたように声を上げる。
「誰か直ぐに陳
警備の衛士が一人駆け出していく。
「この後は
その後は
翌日になり日が昇ると、賊の残した痕跡がいくつか見付けることが出来た。
まずは肝心な凶器は、中庭の池から
理由は簡単である。池に放たれていた鯉が数匹死んで浮かんでいたのだ。
毒に汚染されていることを留意して、池の底を
また、その奥を念入りに捜索すると外壁に鍵爪の跡が見つかり、辺りには鍵爪で割られたであろう塀の瓦が掛けて落ちていた。
それらを以って、今回の事件は物取りの単独犯で屋敷に侵入したは良いが金目の物が見付からずに、迂闊に母屋に足を踏み入れたところで家人に見付かったために
「こんなことで賊を取り逃がしたとするなんて、
「まぁ、
「もしも、わたしが先に賊の正体を見付けたらどうしますか?」
「さすがに
「もしも。もしもわたしが賊の正体と企みの全てを知ることが出来れば、その後の処遇に関して、わたしも協議に加わることをお許し願えますか?」
「フッ、良いだろう。約束しよう」
そして立ち去る妹の成長ぶりを、ただ優しく見届けるのであった。
― あ! そう言えば一晩中、
急ぎ足で自室にとって返すと、
「朝食も忘れて、
「本当っと、ごめんなさい!」
勢い良く頭を下げる
二人顔を見合わせて、大笑いする。
その姿は
― 皆は一件落着って思ってるかも知れないけど、危険はまだ取り除かれていないんだわ ―
***
【用語註】
・大衣:防寒用の外套のこと。
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