第16話

「ポチ、これを飲ませなさい!」

「……これは?」


 ポチは最初の強面から考えられないほど、泣きじゃくっており、見る影もない。


「ポーションです」

「ありがとう」


 小瓶を開け、リンガルに飲ませると、直ぐに目を覚ました。

 

「即効ポーションなんて、喧嘩を売った俺によく渡せたな」

「死ぬのは見過ごせないので」

「俺、なんで横になってるんだ?」

「気にすんな、ポチさんに心配かけてたんだぞ」

「ポチさん、俺大丈夫です!」

「悪かったな、良かった」

「ポチさんに本当に心配かけたみたいっすね。ご心配おかけしました。俺もう元気です!」


 幸隆は遠目から微笑を浮かべ仲のいい光景を見つめた後、食堂を後にしようとしたが、騒ぎを聞きつけた白服の女性と目があった。


「また貴様か!」


「マズイ、サラ刑務所長か……」


 ポチの声が聞こえた。

 幸隆は気楽に答える。


「なるほど、所長だったんですかー」

「どういうことか説明してもらおう。J-13号室の囚人」

「番号で呼ばないで下さい。幸隆という名前があるんです」

「では、ユキタカ説明してもらおう」

「喧嘩になり、負傷者が出たのでポーションを使って治しただけです。怪我人0問題無いでしょう?」

「どこからポーションを持ってきた? お前はまだポイントも全然ないだろう」

「こうして」


 サラに右手を見せる時にエリクサーを創り出し見せれば、全員が思考が追いつかない表情をしている。


「魔法が扱えるだと!?」

「これ、魔法なんですか?」

「貴様は何なんだ」

「さぁ」

「ユキタカを検査室に運べ」


 幸隆はエリクサーを警備員に取り上げられた後、直ぐに検査室に入れられた。

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