第8話

「あの本当にギルドに引き渡すの?」

「当たり前じゃない」

「本当の本当に?」


 幸隆の発言に少し顔を顰め言い放つ。


「何度も言わせないで、引き渡すわ。何を思って侵入下か知らないけど、このヴァイハード学園に無断侵入して、ただで済むと思わないことね? きっちり何をしようとしたか言ってもらうから」


 当たり前と言わんばかりに、女性は勝ち誇った笑みを浮かべる。


 はい、決定しました。逃走します。


 幸隆は無言で女性の方へ走る。


「なっ!!」


 女性は幸隆の行動に驚き慌てて、武器を振るう。

 幸隆は華麗によけ女性の背後にまわり首にドンッと手刀を決めた。


―メキッ


「え?嘘っ……今美人さんの首からめっちゃ酷い音聞こえたんだけど……、ねぇ、これってヤバい?」


 頭を抱え、自問自答し逃げるという選択肢を幸隆は忘れていた。



――――ガチャリ


 手に何か冷たいモノが装着される。

 見れば分厚い金属だが、黒く少し虹色の光を帯びている。


「犯人身柄確保」


 周りをみれば、ギルドの人達がたくさんいて、武器を幸隆に向けており、学生達が女性を取り囲み泣いている様子が見れた。


(私は人殺しをしてしまったのね)


 幸隆はギルドの尋問室へ移動となった。


「私がやりました」


 部屋は強力な結界に包まれており、椅子に座らせられ、足枷も幸隆は付けられている。


 幸隆飲めの前には厳つい男、背後にはやる気はない表情だが目は笑っていない男がいる。


 眼の前の男が口を開く。


「何故、殺した」

「力加減間違えてしまいました」

「ふざけてるのか!」


 茹蛸のように顔を真っ赤にし、幸隆のお情けしか無い服の襟を掴む。


(一瞬で歳くった気分)


 顔面を殴られた。


「痛っ……」

「犯罪者に人権なんて無いと思え、お前は学園に侵入し、ヴァイハード学園の教師を暴行の上殺害、一般市民に負傷をさせた。間違いないな」

「はい、私がやりました」

「あの方は学園の教師にしてルミナ=デイブッヒ=メシュター、27歳。王家の人間だ、お前はとんでもないことをしてくれたな!」

「まさか、首の一撃が手加減出来ないなんて思わなかったんです!」


 幸隆はルミナが死ぬ原因になった自分の身体能力の高さを呪った。


「マージ、俺がこいつを連れて行く」

「ああ、結局もっと重大な事態になったってことだからな」


 マージが幸隆に「最後に何か聞きたいことはないか?」と言った。


「重大な事態ってなんですか?」

「ルミナ様の死がお前のせいじゃないってことだ」


(良かった、私は殺してなかったのね)

「では「だが、お前の罪が消えたわけではない、真犯人が捕まるまではな」


 背後に居たダサい男と一緒に転移で刑務所へ移動した。

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