第21話 平穏の中のざわめき
美咲と山梨に移住し、アパートでの同棲生活が3ヶ月ほど経った。
絵名とはメールを続けている。返事は月に1回あるか無いかくらいだが、連絡は取れている。
母のアパートで一緒に暮らし、喧嘩はあるけれど一緒に生活が出来ているみたいだ。
山梨での生活は、美咲の家族の優しさや、美咲が紹介してくれた本の印刷会社の社員の方々の優しさに支えられ、安定してきた。
美咲「ゆうくん、お帰り。ご飯できているよ。」
祐司「ただいま、みさちゃん。お腹すいたよ、ありがとうね。」
お腹をさすりながら言った。
美咲「今日はオムライスだよ。今日は会社の本採用の日だから、ゆうくんの好物を作ってみたよ。」
祐司「それはすごい嬉しい!みさちゃんも仕事で疲れているのに、ありがとうね。」
美咲「気にしないで。食べて食べて。」
祐司「いただきます。」
祐司は大きな口でオムライスを食べた。
祐司「…。」
過去の記憶が蘇る。
美咲「あれ、美味しくない?人気のレシピで作ったんだけど。」
祐司「いやいや、すごい美味しいよ。美味しくてビックリした。」
美咲「そっか・・・、それなら良かった。おかわりもあるからいっぱい食べてね。」
その日の夜。ベットの中で。
美咲「今日も疲れたけど、充実してたな。」
祐司「すごい、みさちゃん積極的だったからね。そりゃ疲れちゃうよ。」
笑いながら言った。
美咲「だって、甘えたかったんだから。ゆうくんは大変だった?」
祐司「俺は全然大丈夫だよ。
疲れたなら、マッサージしてあげようか?」
美咲「ゆうくん上手だからね。ぜひお願いしたい。」
マッサージ後に美咲は言った。
美咲「すごい気持ちよかった・・・。力加減がちゃんとしていて、全体がほぐれるような感じがしてた。」
祐司「それなら良かったよ。力任せにやると痛いからね。」
過去の記憶が蘇る。
美咲「今度は、私がやってあげようか?」
祐司「んー・・・いいよ、みさちゃんは疲れているんだし、俺はそんなに凝ってないからさ。
ほらほら、早く布団を一緒にかぶろう。」
美咲は祐司にくっつき、深く幸せを感じていた。
この幸せな生活が続けられるよう、明日も頑張ろうと決意した。心の中にある、小さな焦りを覆い隠すように。
山梨に移住して6ヶ月が経過したある日
祐司「みさちゃん、相談なんだけどさ。緑山町に言って父さんの骨を山下家の墓に移したいんだ。」
美咲「良いんじゃない。お父さんも喜ぶよ。」
祐司「その・・・絵名も呼ぼうと思うんだ。みさちゃんも一緒に来るかい?」
ばつが悪そうに祐司は言った。
美咲「それは家族みんなでやらないとね。私もお父さんにご挨拶したいし、一緒に行くよ。」
祐司「分かった。じゃあ、絵名に連絡するね。」
これは、ただ父親の骨壺を移すだけの日だ。
二人は心の中で何度も言い聞かせた。
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