Ωに抵抗

さわみずのあん

衝動、どうしよう。

「こーん、にーち、はー」

 キンキンとした声で、鸚鵡が僕に呼びかける。

「こーん、にーち、はー。あれー、元気ないぞー。こーん、にーち、はー」

 鸚鵡に、おうむがえしを要求される。

「こんにちは」

 僕は、元気、悪く、返す。鸚鵡は元気良く、

「今日も一日、元気で健康な日を過ごしましょう。今日の予定は、まず、」

 鸚鵡は僕の、今日の予定を読み上げる。鸚鵡の言う通り、その言ったとおりの道を通れば、僕の幸せは保証されている。

 見ず先案内パイロット鸚鵡パロットと違って、僕には未来が分からない。どうすればいいかが分からない。したがって、従っていれば、僕には輝かしい未来が、

 衝動、だった。

 僕の幸せを、甲高い声で、声高々に叫ぶ鸚鵡を、

 僕は縊り殺した。


 そうだ、今日、どうしよう。

 ツアーじゃない、どこを観てもいいんだ。

 一寸先は闇。観光ならぬ観闇に、僕はワクワクしてきた。


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