第十七話 どうしよう
バスで帰ってきただけなのに異様に疲れた――というか、K駅バスターミナルで異様にMPを消費してしまった。
高速に乗ったあたりで「やっぱりさっきのは空耳だったんじゃないかなぁ」という自己暗示をかけることにやや成功しつつ、途中休憩で降りたSAでは、また怪しい人物とエンカウントしないかビクビクしながら過ごした。
幸い何事もなかった。名古屋駅のバスターミナルで降車し、そこから公共交通機関を乗り継いで、ようやく自宅の最寄り駅に到着。ここからまた徒歩である。
(遅くなっちゃったな……)
改札の手前でボストンバッグのポケットから定期入れを取り出したとき、何かが指先に触れた。ペンくらいの大きさだが、どうも手触りが違う。
気になって隅に避け、ポケットから取り出してみた。掌にのせた細長い肌色のものが、最初は何なのかわからなかった。
何秒かおいて、着せ替え人形の片脚だとようやく気づいた。
「ぎゃっ」
結構大きな声が出た。近くを通りがかった若い女性が、ぎょっとしてこちらを見た。
あれだけ警戒していた不審者に、私自身がなってしまった。
よっぽど捨てようと思ったが、いざとなると怖くて、レジ袋に包んで持ち帰ってきてしまった。
屋外の物置にしまっているのだが、どうしよう。
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