第17話 揺らぐ光、重なる鼓動
闇の影が広間を覆(おお)い、石壁が不気味に揺らめいた。
冷たい風が吹き抜け、松明(たいまつ)の火がかすかに揺れる。
「ご主人様、離れないで!」
柊(しゅう)が叫んだ瞬間、闇が裂(さ)け、黒い腕のようなものが伸びてくる。
俺は反射的に柊(しゅう)の手を握り返した。
――だが、次の瞬間。
闇が分裂し、俺と柊(しゅう)の間に壁を作り出した。
「柊(しゅう)!」
必死に呼んでも、声は闇に吸い込まれて届かない。
闇の囁(ささや)きが、耳の奥に入り込んできた。
(……お前はただの人間。王子の力を縛るだけの存在……)
「やめろ……俺は……」
心が揺れる。足がすくむ。
そのとき。
頭の奥に、澄んだ声が響いた。
(……ご主人様、僕を信じて)
柊(しゅう)の声だった。
隔てる闇を越えて、確かに届いている。
「柊(しゅう)……!」
闇の腕が再び襲(おそ)いかかる。
その瞬間、俺は胸の奥から声を絞り出した。
「俺は足枷(あしかせ)なんかじゃない! 柊(しゅう)と一緒に戦うんだ!」
次の瞬間、握っていた手の感触が戻る。
柊(しゅう)が闇の壁を突き破り、俺の隣に立っていた。
「ほら、僕はご主人様がいないと立つことができないよ」
耳と尻尾(しっぽ)が揺れ、金色の瞳がまっすぐに俺を見つめる。
胸の鼓動が重なった。
揺らぐ光の中、二人は再び並んで闇に立ち向かう。
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