第13話 砂漠のオアシスと甘味豊かな魔物料理

《砂漠への道》


 大河沿いの町で淡水魚と魔物肉を楽しんだ翌日。

 アキトとポルは、広大な砂漠地帯にあるオアシスを目指して歩き出した。


「河の次は砂漠か……気候も全然違うな」

 日差しは強く、乾いた風が肌を刺す。

 ポルも砂を蹴り上げながら慎重に歩き、時折オアシスの水の匂いを嗅ぎ取る。


「オアシスなら果実や珍しい魔物がいそうだ。楽しみだな」



 オアシスに到着すると、緑が生い茂り、水辺には果樹や野草が広がっている。

 アキトは早速スキルで食材を鑑定する。


【砂漠メロン】

食用可。果汁が豊富で甘味が強い。生食やデザート向き。


【太陽のデーツ】

食用可。香りが濃く、煮込みや焼き物に最適。


「果物の甘味を活かした料理なら、砂漠の過酷な環境でも元気が出そうだ」

 ポルも果実の香りに興奮し、慎重に摘み取る。



 水辺でポルが低く唸る。

 現れたのは砂漠特有の小型サソリ型魔物。体は小さいが、殻は香ばしく、肉も食用になるらしい。


「これも料理に使えるな」

 ポルは素早く捕獲し、アキトがスキルで鑑定する。


【砂漠サソリ肉】

食用可。淡白だが香ばしく焼くと旨味が増す。

甘い果物と合わせると独特の風味になる。


「甘味+香ばしさ……面白い組み合わせになりそうだ」



 オアシスの水辺で焚き火を起こし、砂漠サソリ肉、砂漠メロン、太陽のデーツを鍋に投入。

 果物の甘味が肉に溶け込み、砂漠特有の香ばしい風味と調和する。


 一口食べると、甘味と香ばしさが口の中で広がり、体の疲れが一気に癒される。

 ポルも夢中で食べ、尻尾を振りながら鍋の香りに顔を近づける。


「……果物と魔物肉の組み合わせ、どんどん奥が深くなってきたな」



 オアシスの村で料理を振る舞うと、村人たちは驚きと喜びの声を上げる。


「砂漠の魔物肉がこんなに美味しいなんて!」

「果物と一緒に煮込むと、甘味が際立って絶品だ!」


 ポルは誇らしげに胸を張り、アキトの横で満足そうに座る。

 アキトも料理を通して、人々や魔物との絆を深められたことを改めて実感した。



 砂漠のオアシスの夜、焚き火のそばで星空を見上げるアキトとポル。

 今日も未知の食材で新たな料理を作り、心と体が温まった。


「雪山の温かい鍋、湖畔の魚と野菜、砂漠の保存食、森の魔物肉、温泉街の魔物料理、森の果物と魔物肉、海沿いの海鮮と魔物肉、高山料理、河川の淡水魚と魔物肉……そして砂漠オアシスの甘味料理」

 アキトは次の地図を広げ、まだ見ぬ土地を想像する。


「よし、ポル。明日も放浪メシだ。未知の食材で新しい一皿を作ろう」


 ポルは「キュイッ」と鳴き、アキトの肩に寄り添う。

 こうして、異世界放浪ごはん旅は、砂漠のオアシスで新たな味覚を手に入れ、次なる土地へと進んでいくのだった。

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