詩の貯め所

C07

01【電車】

でんしゃはせんろのうえをいく


始発の声が鳴り響く

電車はカタコト音を奏でる

名前も知らぬ旅人が

ホームで笑って手を揺らす

だれなのだろ?

知っているのに、知らない人



でんしゃはせんろの上を行く


窓の外は不思議なモノで溢れている

透明な柱、走る箱

同じ姿の生き物たち

自由に描ける白い紙

でも気をつけて

大きい紙は書くと怒られちゃう

書いていいのは

机にある小さい紙だけ

どうしてだろう?

とても不思議で、とても面白い



電車は線路の上を行く


たくさんの人が車内に乗り込む

楽しい人たち

嫌いな人たち

愛しい人たち

一人が乗っては、一人が降りる

こんにちは、さようなら


隣同士で笑う人

いいないいなと眺めてる

いつも空いてる私の隣

ここにも誰かくるのかな?



デンシャはセンロのウエをイク


終点の声が鳴り響く

窓の外には何もない

いつの間にかいた車内の人たち

悲しそうにこっちを見ている

ダレなのだろ?

知っているのに、知らない人


電車を降りて、ホームに立つ

車内のみんなはもういない

ここは何処?

私は誰?


私の電車に誰かいる

名前も知らぬ旅人に

私は笑って手を揺らす

私の電車に乗る人が

せめて幸せでありますように


私の電車がやってきた

つぎのでんしゃがやってきた

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