第11話 犯罪者に人権は無い

☆鶴田楓サイド☆


私は工藤那奈を信頼していない。

工藤那奈はあくまで前世から来たらしいけど斗真の為になるのだろうか。

そう考えながら私は工藤那奈を見ていた。


翌日になり噂が広まった。

どんな噂かといえば斗真に対しての噂。

それから皆月春に対する噂。

半々な状態で学校で蔓延していた。

私は不愉快な気持ちで噂を聞きつつ周りを見渡す。

そしてゆっくり立ち上がった。


「斗真...」

「ああ。どうした」

「大丈夫?」

「...まあな。仕方がない状況だ。噂の蔓延も...奴がなにかしたんだろうけど許せない」

「...これからどうする?」

「取り敢えず噂を断ち切るしか無い。今だったらまだ可能だと思うから」

「分かった。...私も努力するから」

「お前に迷惑なんぞかけたく無かったんだがな」

「...仕方がないね。こればっかしは」


そう話しながら居ると「瀬尾」と声がした。

私はその言葉に顔を上げる。

斗真もその方向を見る。

そこに男子が3人居た。

みんなニヤニヤしている。

斗真を馬鹿にする様な感じだ。


「なんだ。お前ら」

「お前の噂はマジなのか?」

「...強姦魔っていう噂か」

「なんだ。知ってんのかよ。つまらねーな。まあ良いけど」


それから斗真を見下す3人。

私はその姿に堪らず「その」と言うが斗真に制止された。

そして斗真は男子達を見る。

「俺は強姦はしてない」と言った。

その言葉に3人は「しかしね。なんか噂が立ってるからさ」と嘲笑う。

私は堪らず声を上げそうになるが「俺はそんな真似をする程堕ちてないから」と言いつつ。


「先ず証拠も無いだろお前ら」

「...確かにな。だが...」 

「客観的なもので証拠もクソもない」


その言葉に男子達は眉を顰めた。

それから斗真はその感じに睨み返した。

どうすれば良いんだろう。

そう考えていた時だ。


「彼は強姦してないと思いますが」


と声がした。

顔を上げると四辻が居た。

相変わらずの真顔で笑みを浮かべている。

つまり目が笑ってない笑顔だ。

なんなんだコイツ。

すると四辻は教室に入って来た。


「証拠が無いんで。しかもいやらしい男が噂しているだけですよ。信頼性に乏しい」

「君は信じるの?だったら」

「信じますよ。彼は明確な証拠が無いんで」


その言葉を驚きながら聞く私。

それから私は「どういう吹き回し」と四辻に聞く。

すると四辻は「私、こういうの嫌いなんで」と真顔になる。 明確な怒りの様に見える。


「...」

「はっきり言わないと駄目ですよ。斗真くん」

「...何故お前は俺を助けた」

「何故?助け合いですよ」


それから四辻はなにかを取り出す。

それは紙だ。

A4ぐらいの紙だ。

なんだろうかと見ているとそれには顔写真が貼られている。

その人物は昨日会った内藤だった。


「なんだこれは」


そう斗真が話す。

そこに書かれていたのは内藤のやったらしき事柄だった。

私は「なにもここまでする必要って」と唖然とする。

四辻は歪んだ笑みを浮かべた。


「なにを言ってますか?これだけ酷い事をされてこのままですか?ありえないですよ」

「しかし個人情報ですよ」

「知りませんよ。そんな事。私にとって一番許せない行為をした男ですから」 

「一番許せなくてもこれは...」


なにも言えないまま黙る斗真。

四辻は興味のある奴に配る。

それから「彼は嘘つき野郎ですんで」と満面の笑顔を浮かべてから手を広げた。


「クソ野郎には裁きを、です」

「...」


四辻から貰った紙を見る。

手書きの様に見えるが執念深く記載されている。

私は説明書きや全てを見た。

内藤は1度捕まっている。

そして虚言癖等がある事を記載されていた。


「...」


先程の男子達も「成程な」と言ってから黙った。

それから何も言わなくなる。

私はその姿を見つつ四辻を見た。

正直、恐怖に感じる。

何処からこんな情報を引っ張ってきたんだ。


「...四辻。俺の為にしてくれたのには感謝する。だがお前のやる事は...あくまでろくでもない事だぞ」

「犯罪者に人権はありませんよ。私はそう考えます」

「...」


四辻の姿を見ながら私は紙を見る。

それから四辻は「SNSにも投稿します」と言い出した。

いやそれは。


「待て。フルボッコにしてどうする。春に影響が出る可能性もあるだろ」

「春にも影響が出るって考えてどうするんですか?」

「...お前のやっている事、全てに納得はいかない」

「ですがこれしか手段ありませんよ?」

「無い訳じゃないだろ。全ての手段が早いんだよ!」


するとチャイムが鳴った。

それから教員が入って来る。

「おい。なんだこれは」と教員は言った。

そして四辻と私達と光景を見る教員。

偶然にも秩序にうるさい田中教員。

最悪だ。


「君達、生徒指導室に来なさい」

「待って下さい!先生!悪いのは四辻です」

「良いから来なさい!」


それから厳つい顔の教員は顔を赤くしながら去って行く。

クソ教員め。

そして私は苛立ちながら生徒指導室に向かう。

とばっちりだ。

思いながら私は四辻を見た。

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