異世界ドラグーン - 輪廻転生 - 死ぬたびに強くなる

志村けんじ

第1話 バーチャルリアリティー

 この世界は生きていても地獄のようなものだ……。休みなく続く余計な雑務と、安い給料……。人手不足なのは、お前たち上がアホで、会社が真っ黒過ぎるブラックからじゃないのか!?


 だからといって、オレみたいな30間近のバカが行けるような会社は他に無いし……。


 唯一の他の楽しみといえば、家に帰ってからのTVゲームだけかよ!


 さて、その唯一の楽しみをするとしますか。


 今日も、魔物やモンスターを倒してやるぜ!


 ゲームの中の世界に、オレは現実を忘れて没頭した。


 気がつくと、どうやら疲れて眠ってしまったらしい。


 目を覚ますと、世界が変わっていた!


「!?」


 ビルとビルの合間を、翼の生えたドラゴンが飛んでいる。所々穴の開いたアスファルトの地面には、映画さながらの魔物たちが斧や剣と盾を持って歩いている。


 なんだ此処は!? オレはどうして、こんな処に!?


 オレも武器を持って戦う……。って、もう持ってるじゃねーか!? これ、アサルトライフル!? オレ、軍隊の制服みたいなのを着てる!?


 とにかく、あいつらを倒せばいいんだな! 簡単じゃねーか!


 魔物にライフルの銃口を向けて連射する。なんだか振動が妙にリアルだ。


 ところがだ!? 近代兵器である、アサルトライフルの攻撃が効かない。奴らの持っている盾には、強力なシールド効果があるみたいで、まるで豆鉄砲みたいにライフル弾を跳ね返す。


 何処に当てればいいんだ!? ポイントがあるはずだ! これはゲームなんだから!


 奴らの足元がガラ空きだ! ヨシ! 試しに足元を狙ってみよう!


 ヨシ! 足元には当たる! 盾のシールドが下がって、頭が見えた! そこを狙え!


 ヨシ! 当たった! なんだよ、こうすりゃ簡単に倒せるじゃねーか!


 ヨーシ! この調子でジャンジャン倒してやるぜ!


 そう思ってアサルトライフルを構えた瞬間!?


「逃げろー! みんなー!」


 誰かが、そう叫んだ!


 魔物の投げた光る物が、空中で爆発して、辺りが光りで包まれた。


 オレは死んだ……。もう一度初めからやり直しだ。



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