6輪の花束前編
俺たちは鎌ヶ谷家に着いた。
「お邪魔します」
6人がぞろぞろと俺の家に入って行く。
「ここが鎌っちの家か!ひろーー」
みんながリビングに来たタイミングで母と父が出迎えた?
「いらっしゃい」
「おーー、悠人の友達かよろしくな」
すると後ろから
「ひまねぇーーー」
琴羽が叫びながら飛び込んできた。普段とは違う洋服をしている。
「初めまして、琴羽です」
「琴ちゃん、やっほー遊びにきたよ」
「遊びにきてくれて嬉しいです」
琴羽は興奮している。普段はあまり見ない光景である。
「妹さん!?初めまして、私はぼたんと言います。どうかお姉ちゃんとお呼びください」
「ぼたんお姉ちゃん!!」
新山さんは相変わらずだ。
「へー、あんた妹さんがいたんだーー。あんたと違って可愛いじゃない。私は高瀬つばき。よろしくね」
「えへ」
高瀬さんは俺にはめちゃくちゃ厳しい。
「私は海風鈴花。鎌ヶ谷くんの妹ちゃん可愛いね」
「ありがとうございます!」
海風さんもいつも通りって感じだ。
「あの!聞いてもいいですか?おにぃーとプリクラ撮った女の子ですよね!!」
琴羽は五十嵐さんの手を握って振りながら言っている。
「あ……はい……五十嵐すみれです……」
「ですよね!!あの服めっちゃ可愛かったです!!!」
「ありがとうございます……」
「琴羽、五十嵐さんが困ってるだろ!」
俺は琴羽を軽く叩いた。
「むにゃむにゃ、眠い……」
アリイさんはずっと眠そうだった。
「あ、そうだ!これ私たちからです。つまらないものですが」
そう言って、海風さんは母に紙袋を渡した。こういう時の海風さんはしっかりしたお姉さんという感じで頼りになる。
「ありがとね」
母はそう言って紙袋を受け取った。
「荷物はここに置いてくれ」
6人は皆、荷物をソファの横に置いた。
「私は今からご飯を作るわね。悠人ちゃん、家を案内してあげてちょうだい」
「お母さん、手伝いますよ!」
「あらありがとう」
さすがは海風さん、めちゃくちゃ気を使える。
「私も手伝います。
ん?新山さんの今の「
海風さんと新山さんが、母の料理を手伝っている間、俺と琴羽、朝野さん、五十嵐さん、高瀬さん、アリイさんは俺の部屋に行った。
俺の部屋に着くと琴羽と朝野さんは俺のベッド、俺、五十嵐さん、高瀬さん、アリイさんは床に座った。
「ふわふわだ!!!それに鎌っちの匂いがする」
朝野さんは俺のベッドでぴょんぴょんと跳ねた。
「あの!私からみなさんに1つだけ質問があるんですけどいいですか?」
あれ?なんか嫌な予感がするな。
Q;みなさんは琴のこと妹として見てくれますか?
「おーい!!だめだろ!!こんな質問」
やっぱり予想した通りだ。この前、朝野さんにした質問を他の人たちにもしだしたのだ。
「なんで!1番重要でしょ。琴を妹として見てくれないんだったら琴は反対だから!」
「なにが!?お前はなに考えてんだよ!」
俺は完全に彼女たちがいることを忘れて、琴羽にツッコんでしまった。
「あははは。やっぱり琴ちゃんって鎌っちの妹ちゃんなんだね。めちゃくちゃ面白いよ」
「ひまねぇー、笑ってるでしょ」
琴羽は頬を膨らました。
「全然違うわよ。琴羽ちゃんめちゃくちゃ可愛いじゃん。こいつと違って」
「俺はこいつじゃなくて……鎌ヶ谷です……」
やっぱり高瀬さんは苦手だ。
「そうね、じゃあ鎌ヶ谷、カマ、カマキリってどうかしら」
「あははは。カマキリって懐かしいーーー」
うわーーー。思い出させるな。俺の黒歴史なんだ。本気でウケると思ってやったボケが、スベったんだぞ!!忘れようとしてたのにーーー。
「カマキリ、あなたにはこんな可愛い妹はもったいないわ。琴羽ちゃん私の妹にならない?」
Q;つばきさんは料理ができますか?
A;料理は得意だよ。スイーツ系が特に。
Q;私を甘やかしてくれますか?
A;もちろん。欲しいものはなんでも買ってあげるわ
「琴は、つばきねぇーの妹になります」
「ちょっと待てーー!!」
え!?こないだまで朝野さんのことをお姉ちゃんとか言ってたよね。よりによって高瀬さんをお姉ちゃんって呼ぶのは……
「ねぇ、カマキリくんだっけ?アリイはお腹がすいた」
さっきまで眠そうだった、アリイさんが急に言ってきた。噂通り本当にマイペースだ。それと俺はカマキリじゃない、鎌ヶ谷だーーーー。
「あははは。やっぱり鎌っちといると笑いが尽きないよ」
「楽しい……です……」
五十嵐さんは少しずつ俺のことを信頼してくれているのかな。結構話してくれるようになった気がする。
「みなさんって昔から知り合いだったんですか?」
琴羽が唐突に踏み込んだ。
「えーっとねー・・・・私とアリイちゃんが小学校からの友達で、つばきちゃんとぼたんちゃんが赤ちゃんの頃からの知り合いで、鈴っちとすみっちが幼稚園からの幼馴染かな。そっから中学生の頃に出会ってそのまま仲良くなったみたいな」
「えーー!?つばきねぇーとぼたんお姉ちゃんって赤ちゃんの頃から知り合いだったんですか!?」
「そうね。親同士が、仲良かったから。ぼたんとは姉妹みたいなものね」
「えーーーー。羨ましい!!」
「そうでしょ!それなのにこのカマキリがぼたんにちょっかいをかけるから」
高瀬さんは俺を睨んできた。なんだ、高瀬さんは俺に嫉妬していただけなのか。ちょっかいをかけてきたのは新山さんだけど……。
「うちのおにぃーが迷惑かけてごめんなさい」
「えっ?琴羽?」
「おにぃーだめだよ。ちょっかいかけたら。女の子は繊細なんだから」
俺が悪いみたいになってる。てか、琴羽も俺にめちゃくちゃちょっかいかけてきてるじゃないか!?
「私、奇跡だと思うんですよね」
「奇跡?」
「だって、みなさんの名前って花に由来してますよね!
「あははは。ありがとう、嬉しいよ」
「琴羽ちゃんもかわいいよ!」
「ありがとうございます……」
「アリイも嬉しい」
「それだけじゃありません。おにぃーと友達になってくれた。それが1番の奇跡なんです!!だから妹として言います。ありがとうございました!!」
琴羽の顔は笑顔だった。それも今までに見たことのないくらいの。
俺はその琴羽の笑顔を忘れることはないだろう。
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