忘れられない君へ ―心に残る愛―

@sana7an

第1話 出会いと恋の始まり

私たちは別々の大学に通っていた。

私(紗奈)は大学3年生、海斗は大学2年生。


アルバイト先のガールズバーに

海斗は友達と一緒に初めて来店した。

かなりお酒が入っていて、

普段の奥手な彼とは違い、

にこにこと饒舌に話している。


「紗奈さんって……本名ですか?

 いい名前ですね」


「はい、そうです」と答えると、

彼は私のことをじっと見つめた。


その夜、少し会話を交わした流れで、

海斗は照れくさそうに聞いてきた。

「よかったら……

 連絡先を教えてもらえませんか?」


私は頷き、彼のスマホに

自分の番号を書き込んだ。


それから海斗と毎日メッセージの

やり取りが続いた。


普段朝が苦手で寝坊しがちな海斗が、

大学の授業のインターンシップでいつもより

早起きしなければならなかった私のために、

毎朝わざわざ「頑張って!」

とメッセージを送ってくれるのだ。


恋愛に少し疲れていた私だったが、

他の人とは違い、私のために

そんな行動をしてくれる海斗の姿に、

少しずつ気持ちが動いていった。


そしてある日、

初めて二人で飲みに行くことになった。

お互いの大学生活やアルバイトの話、

ちょっとした悩みまで、

自然に話せる時間が心地よかった。


話の流れで

私は少しからかうように聞いてみた。

「海斗、私のこと……どう思ってるの?」


海斗は一瞬戸惑った表情を見せたが、

やがて小さく息を吐き、

真剣な眼差しで答えた。


「紗奈……俺、紗奈のことが好きです。

 よかったら俺と付き合ってください!」


私は笑顔で頷いた。

こうして、私たちの恋は静かに、

でも確かに始まったのだった。


付き合い始めてすぐの頃、

海斗は少し聞きづらそうに尋ねた。

「紗奈、バーの仕事は楽しい?」


私は少し考えて答えた。

「うん、楽しいけど……

 海斗といる時間の方が大事かも」


海斗は小さく頷き、

安心したように微笑んだ。


それから自然な流れで、

私はガールズバーを辞めることにした。


海斗との距離を少しずつ縮めながら、

二人の時間を大切にする日々が始まった。

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