西暦1322年




俺は女をさらって逃げてきた。


都合よく神殿がある。


ここでこの女を好きにさせてもらうことにしよう。



何? 神聖な神殿で何をするつもりかって?


ゴタゴタぬかすな。


どうせ俺ぁ縛り首になるところを逃げてきたんだ。



縛り上げた女を適当に放り投げ、俺は神殿を見回す。


不思議な神殿だった。


普通神殿ってのは何かの神を祭ってるものだ、『殿』だからな。



だが、この神殿には何もない。


いや、ひとつだけ、ある。


中央に謎の台座がある、特に御神体とかが置いてあるわけでもない。



しけた神殿だ、黄金像でもあれば奪って金にしたんだが。


俺は台座に近づく、台座の四方には碑文の刻まれた板がある。


文字なんて読めない俺だが、不思議とこれは読むことができた。





『これはユニタリボタンである』


『何人たりとてこのボタンを押すことはできない』





確かに台座の上を見ると、ある。


ボタンが、ある。



はぁ? 押すことができないだと?


そんなわけないだろ? ボタンだよ、ボタン。


俺はためらうことなくボタンを押した。



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