第6話:壮介のスケベな行為。


壮介も母親も身内もなく親戚もいなかったため、彼の遺体の引き取り手がおらず

病院の申請で役所の人が来て丁寧に葬儀をあげて、あと処理をしてくれたらしい。

吉野は母の旧姓だったため、実質吉野家は魂になった壮介以外誰もいなくなった。


さて、壮介の魂が雛の体に入ったことで、仮死状態から復活した雛だったが

壮介のどうでもいい退屈な話を聞かされながら一睡もできず朝まで待って、とり

あえず、この現状を看護師さんに知らせないと始まらないと思ってナースコールを

のボタンを押した。

しばらくしてナースステーションから看護師さんが雛の部屋に確認に来ると、

上半身を起こして目を開けている雛を見て信じられないような顔で一瞬固まった。


「あの、すいません、私・・・目覚めちゃいました」


「ちょ、ちょ、ちょっと待ってね・・・そのままよ、先生呼んで来るから」


さあそれから大変・・・患者が仮死状態から息を吹き返したってことで

大騒ぎになるやら看護師が喜ぶやら、雛の両親が知らせを受けて病院へ駆けつけて

来るやら・・・。

特に雛の両親は喜んだ。

その間、壮介は我関せずで黙秘していた。


雛はもう一度、精密検査を受けて、どこにも異常が見られないことから無事病院を

退院した。

雛は家に帰って一週間学校を休んだ。


で結局、嫌でも風呂には入るわけで・・・雛は自分の裸を壮介に見られることに

なった。


「あの。お風呂に入る間、目を閉じててくれる?悪いけど」


「そんなことしたら、雛も目を閉じることになるけど・・・それって

マズいんじゃいか?」


「あっ・・・そか・・・しょうがんばいな」


しかたなく雛は服と下着を脱いだ。


「お〜案外、おっぱいデカいんだな〜・・・」


「あ〜ん・・・もう勝手に触らないで」


雛の思惑とはうらはらに壮介が勝手に自分の手で持っておっぱいをモミモミした。


「ダメだから・・・もうそれ以上止めて・・・私の体から出てってよ」


「仲良くやろうよ・・・雛ちゃん」


まあ、しばらくの間、そう言うエッチいやりといが繰り返された。


雛がかたくなに拒否しても壮介が勝手に雛の体を操って鏡の前で

股を開いて雛の大事な秘部を見たりするから、ふたりは仲違いしていた。


おまけにベッドに寝そべってクリちゃんを触りながらオナニーまでしはじめて

気持ち良くイっちゃう始末。

体を共有してるから雛が気持ち良くなってイったようなもの。


イヤだって思ってもエクスタシー感じてイっちゃうもんだから、雛は複雑な

心境・・・そりゃまあ気持ちはいいからね。


「俺にアソコ見られたりオナニーされたりして雛が怒る気持ちは

分かるけど・・・でもさ自分の体のこと知りたいって思うだろ?・・・

俺さもう女なんだぞ?」


「このスケベ・・・人の体、もてあそんで・・・絶対許さないから」


「もうオナニーはしないから仲良くやろうよ」


「え?・・・もうしないの?」


「だってさ・・・イヤなんだろ?俺に体好きにされるの?」


「そうだけど・・・壮介案外オナ上手だから・・・私、自分じゃイったこと

なかったからね・・・だから壮介が私の体でオナってイっちゃったから

正直言って、ようやくイケたって感激してたんだけど・・・」


「え?そうなの?・・俺にスケベな行為されて雛が迷惑がってると思って・・・」


「あの・・・気持ちよかったから・・・時々ならしてもいいかなって・・・」


「え?・・・まじで?・・・いいの?イジっても?」


雛は何も言わず、うなずいた。

雛は壮介の横暴よりも性欲のほうが勝ったみたいね。

まあ、誰かにレイプされた訳じゃないから・・・だから雛は壮介がオナニーを

することだけは許しちゃったのだ。

って言うか、壮介の魂が体に入ってから、もう恥ずかしいって思うような屈辱も

なくなっていた。


壮介はこの世には存在しない・・・でも魂は雛の中で生きている・・・雛は元気

になったことでまた学校に通い始めた。

ふたりが見るもの聞くもの匂うもの・・・すべて同じ、同じ風景。


ただ性格は違うからね。

雛は消極的で五感が鋭く理論的、壮介は積極的で考えるより先に行動。

だからふたりの意見が合わない時もよくあった。


だけど夫婦と違って離婚したらそれで済むって関係じゃない・・・仲良くやって

行くしかないのだった・・・それは今更だからふたりにはよく分かっていた。


そして雛は壮介とともに無事高校を卒業して大学に進学、そして横浜南金山署の

婦警になり昇級試験に合格して刑事になった。

ある意味、消極的な雛は積極的な壮介の正確に助けられたようなもの。


刑事になったものの・・・事件と言っても最近はもっぱら男女のもつれによる

殺傷事件が増えていた。

これもSNSやマッチンアプリや出会い系サイトによるトラブルが元になっていた。


つづく。






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