第13話 三日目の朝食時にて?

「今日こそエレスティアの装備をなんとかしないと……」


「昨日はカランの街ここの東側と北側の鍛冶屋とか見て回ったけど……閉店してるか、鍛冶道具売り払って酒飲んでた論外か、粗悪品としか言えないモノしか売ってない武具量販店しか無かったからな」


転生?して3日目。


朝食取りながら今日の行動方針を確認しているところだ。


昨日で暫く遊べるくらいの金が入ったので、多少依頼受注優先度が下がり、エレスティアの装備の用意が優先度跳ね上がっている。


「中心街に入れればたぶんもう少しマシな鍛冶師が居そうな気がするけど、あそこ死ぬまでバカみたいな市民税払う契約結んだ人か、最低10年の死ぬまで市民税支払い続けた人の子孫以外原則入れないから……」


ミレイユが望み薄いけど……と零す。


「いっそ私とカイトで1から作ったほうが早いまで……いや、初めての夫婦共同作業が側室の武具とかなんか嫌だな……」


「あれ、まだ嫁云々が諦められてない……?」


困惑するエレスティア。


なんて会話していたら生命の感じない気配がしたのでそちらを見る。


「おや、気がつかれてしまいました。マスターでも滅多に気が付かないというのに」


そこにはクリームブラウンの髪と球体関節、人に限りなく近い白磁の肌を持つ人間大の人形がいた。


「……誰?」


ユエが警戒しながら魚料理を頬張る。


ちなみに今日の魚料理は甘い煮付けだ。


「失礼。私はステラ。マスターリエルが発掘し、起動した旧き魔導人形でございます。以後お見知りおきを」


カーテンシーだっけか?


名乗りとともに気品感じる一礼を受けたのでこちらも名乗ることに。


「オレはカイト。田舎から出てきた(自己申告)世間知らずな田舎モンだよ。礼儀作法なってなかったらすまない」


「私はユエ。カイトの嫁。私の大望はカイトのためにハーレムを作ること。お前もアリよりのアリなのでチャンスがあるなら手にいれる」


「えっと、私はミレイユです。……一応Aランククランに以前は所属してて、登録上はAランク冒険者だけど、絶賛自信喪失中です。現在お二人に誘われ……誘われて?お二人のパーティーに入ってます」


「私はエレスティア。Bランク冒険者だが、現在武具破損してて仕事できていない。オマケにカイト殿たちとの力の差に軽く絶望している」


「カイト様にユエ様、ミレイユ様にエレスティア様ですね。お名前把握しました」


そう頷くステラ。


そして何故か頭を深々と下げた。


「――先日は我が主が無礼を働いたと聞きましてお詫「本人がいの一番に言わないならその謝罪の言葉は何の意味も持たない。寧ろ主従揃って印象悪化しか招かない。だから帰れ」っ!」


ユエの凍てつくような声に言葉が途切れる。


「ユエ、抑えろ。威圧の余波でミレイユとエレスティアも顔真っ青だぞ」


「カイトが本気で怒った時の予行練習程度にはなったと思うけど」


「風評被害! ……と言うわけで、アンタからの謝罪の言葉は『聞いてない』から」


「……これにて失礼します」


そう言って去っていく人形。


「……エレスティアの装備、私のサイズ可変のお古から適当に用意して鍛冶屋見つかってお古よりましなのが作れる人でたらにしようか」


席についてそう告げるユエ。


探すよりソッチのほうが楽かもしれないな、確かに。


そう思いつつ、オレたちは食事を済ませる。


その後ユエが適当に用意した鎧(頭以外)と剣にタワーシールドまで出しているのでそれなりに様になった。

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