第1話 転生初手の街が襲われてるようです
目を開くとそこは見知らぬ森の中。
傍にはユエがおり、こちらをじーっと見ていた。
「……見てて飽きない?」
「全然。見てるだけで一億年イケるし、ご飯何杯でも食べられる」
オレの言葉に早口で答えるユエ。
オレはおかずってことですか?
焼肉屋の換気扇口から漂う匂いでご飯食べてるアレと同じ類なのだろうか……。
「現在地は……あっ、地図古いままだ」
VRMMORPGでありそうな手の動かし方でマップを開くユエ。
横から見たが、地図どおりならすぐそばに街がある山の上にいることになってるらしい
「……街どころか山の上ですらないが……」
見渡す限り樹木と雲がある青い空……あ、月っぽい衛星がうっすら見える。
「数万年の歳月で地形変わったのと、現在地取得ミスしてるのと……そもそも主神位相克戦とかで下界である人界が地殻変動レベルで書き換わった……そのあたりが原因?」
「マップリセットや大規模アップデート名目のイベントでそんなのあったな……」
将棋とかの名人やボクシングタイトルとかのように主神の地位を巡ってNPC同士が戦うイベントが記憶にある限り3回くらい開催されたのを思い出す。
何れもプレイヤーたちは消滅を運営から通知されてるアイテムや素材、装備や設備とかの処分に奔走したんだよなぁ。
特にクラン――一定人数で作れる独立組織――を解散してホームとか売却したり、売却品や山分けを後回しにしてた素材の分割問題で専用掲示板とかが阿鼻叫喚に包まれてたっけか。
ユエ以外とは疑似運営サイドとして接触するかレイド系で共闘する程度だったのであまり関係なかったが……。
「主神か相克者のどっちかに付いて相手側の眷属を数倒すイベントで、どんな結果でもマップが刷新されてたんだよなぁ。……眷属と言ってもプレイヤー倒しても一定レベル以下しかほぼ恩恵なかったから互いの陣営のNPC狩って金やアイテム手にいれる蛮族的祭りみたいになってたっけなぁ。……えっ、アレと同じようなことが起きるのこの世界」
冷静に思い返したあと、事実を理解して困惑した。
「ん、でもそんな頻繁には起きない。……今の私たちがカチコミいけばやれるし、今取得したデータが正しければ最後に相克やってから2万年くらい経過してるから相克できる逸材がいつ生まれても、おかしくないけど」
「自分たちが世界書き換える起爆スイッチかもしれないと聞かされて恐怖しかないなぁ」
あんまり実感ないけど、そう言わないと人として何が終わりそうな気がしたので口にしておく。
「取り敢えず地図更新できた。カイトのデータを裏で更新しておくから、取り敢えず最寄りの街に行こうか」
――*――*――*―――
ユエの先導により、森から草原に景色が変わり、洋ゲーで見たことあるような街が遠目に見えてきた。
「壁の外と中で分かれてるタイプの街みたいだね。海?に面してるし、港町でもありそう」
「ゲームなら2〜3個目に訪れる街かな?」
それはそれとして、森の中を1時間近く歩いたが、疲れてないなそういえば。
……たぶん能力とか技能とか各種レベルをほぼカンストさせてたキャラデータが反映されてるからなんだろうが……。
「――って、なんかおかしくない?」
なんか海の方からバカでかいヘビみたいなのが見えるし、ソイツが今口から圧縮した水らしきものを放つのが見えた。
「――カイト、街が襲われてる。助けなきゃ」
「最初の街到着前に街襲撃に遭遇とかわけわからねぇなコレ」
走り出すユエに置いていかれぬよう駆け出した――。
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