少女達の謎
あれから何日かして、銃を撃つだけの日々に飽きてきた頃、ようやく動く模型に切り替わった。
周りもだいぶ当たるようになってきていたのだが、全てリセットされたような感じだった。
「チッ、全然当たんねぇ」
ラグルスは少しイライラしていた。
俺は、このままでは当たらないと、いつも通り適当にこなして、終了時間を待った。
練習を終えて、俺はいつもの彼女と居残った。
あの衝撃を流す撃ち方では、やはりしっかり脳の中心に当たる。
「この撃ち方、やはりすごいな」
彼女は当たり前だという風に目配りしたあと、思いを馳せるように言った。
「早く地球に戻りたいからね」
「人類みんなでな」
月の内側は、日が当たらないせいか、ストレスの多い人が多く、治安もそこまでいいわけじゃない。
だからこそ、人類に太陽を返したい。
いつか見た、あの青い空を……。
「じゃあね」
彼女はそう言ってこの部屋を見た。
そう言えば、彼女は自身の名前を知らないと言っていた。
その場合、教官は彼女をどう認知しているのだろうか。
彼女の身元が本当に不明だとしたら……おかしい、何かが。
まあ、深く考えすぎてもしょうがないだろう。
その時、部屋のドアが大きく開いた。
「あれ?銀髪ちゃんは?」
「もう出てったよ」
「先ほどすれ違ったはずです、ヘレナ様」
「あれ?ヘレナ、隣の人は?」
ヘレナは、思い出したように拳をぽんと手のひらにおいた。
「ああ、さっきあったね!忘れちゃったよ。えーっとね、この
リカは一歩前に出た。
「ヘレナ様の友人とお聞きしております。これから、どうぞよろしくお願いします」
「そんなにかしこまらなくていいよ」
「いえ、ヘレナ様の友人とあれば、心より忠誠を誓います」
何を言っているのか分からず混乱していると、ヘレナはニヤッとした。
「リカはドMだから」
「なるほど、理解した」
中学にも、そんな奴がいた気がする。
「まあとにかく、よろしくね」
ヘレナは軽く話を流すと、部屋から出ていこうとした。
「ちょっとまってくれ、ヘレナ、あの銀髪の名前を知っているか?」
ヘレナはニヤッと悪そうな顔をした。
「さあね」
そう言い残して、ヘレナは出ていった。
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