第4話
この7年間、僕たちは夜な夜なトレーニングを重ねた。
ヴィナは期待通り、マーズは期待以上に成長した。これなら一流にも余裕で勝てる。
ソルとヴィナは初めての女友達同士ということもあって仲が良く、よく笑い合っていた。
しかし僕とディアは、魔剣士学院入学試験の勉強で手が離せず、仲間集めはほとんどできなかった。
そのため、ヴィナとマーズに人材集めと教育を任せていた。
結果――屋敷の地下に広大な地下空間ができ、仲間も増え、王国の犯罪者が姿を消す“神隠し”まで起きている。
――悪いのは全部あの二人だ。
幹部は8人で構成。コードネームは以下の通り:
あとから入ってきて幹部にも満たない実力のものを星という。
僕のコードネームは
そして、僕たちの組織名は――「
◇
12歳になると、貴族は学院へ入学しなければならない。僕たちももちろん例外ではない。
新入生挨拶は今年入ってくる”第3王女”とか”勇者”とかを抑えてディアだ。これでこの学校は腐ってないと言えそうだね。良かった。
ディアの可憐な挨拶の後はクラス分け。ディアは特待クラス、僕は一般クラス。勉強で差がついてしまった。
最近ディアの魔力量がおかしいぐらい増えてきたから、そろそろ焦らないと僕の立場が本格的になくなってしまう。
両親はディアが総代だということには喜んだが、僕らを比べること無く、どちらにもよくやったと声をかけてくれた。
そうそう、”勇者”も僕と同じクラスだ。魔王でも現れるのかな? 現れるのなら、ぜひ介入させてもらいたい。
でもここは学校。僕はあくまでもノクス・ノイトラール。わざわざ大貴族や、宮廷魔法使い、騎士団長の子供が挨拶に行っている中声をかけられるわけがない。
本当に魔王でも復活するの?
と、まあおえらいさん方のお子様方の挨拶中は僕達下級貴族や、平民出身の交流タイム。
そんな中で騎士爵を親に持ち、騎士爵を夢見る青年キシ・ユメーと男爵を親に持つバロン・パテルと仲良くなった。
二人の親はもともと友達で、そんなつながりで仲が良かったんだそう。
優秀な妹がいる僕のことを憐れんで話しかけてくれた。
「ところで、ノクスくん。君の妹さんと話wo...」
キシの顔が歪み、脇腹を抑える
「何を言ったかもう一度言ってくれる? 僕達友達でしょ」
こんなやり取りもあったけど仲良くやっている。
そんな愉快な初登校も終わりを迎えようとしていた。
魔術学院に入った生徒は誰もが平等という校訓の下、寮生活が義務付けられる。
だから、帰り道は全員同じ。
三人で帰路についていると後ろから元気な女の子の声が聞こえてくる。
「ノクス。待って。一緒に帰ろ」
やっと名前呼びしてくれたことに満足しつつ、少し驚く。
「友達と帰らなくていいの?」
「いいよ。ノクスのことをばかにするような人たちは」
「特待クラスには、王女様もいたでしょ?」
「王女様とは仲良くなったよ。貴族同士の会話が嫌いってところが一緒だった」
ふーん。王女様とねぇ。すごいじゃん。
「学校は楽しかった?」
「うん。でも魔力を制限するのは大変だね」
「仕方がないよ。もしその大量の魔力がバレたら、魔王だなんだって言われるかも知れないし」
そんなふうに話していると、置いてけぼりにされた僕の友人が口を開いた。
「ディ、ディアさん?俺...じゃなくて僕はキシ・ユメーとです。ノクスと友達です」
「ぼ、僕はバロン・パテルと申します。同じくノクスくんの友人です」
「兄と仲良くしてくれてありがとう、よろしくお願いします」
ディアとの挨拶は敬語だった。僕には砕けた口調で話しかけてきたのに。
まあいいや。ディアに友達が増えることはいいことだし。
そう思い、これからの学校生活に思いを馳せながら四人並んで帰路につくのであった。
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