第20話

城壁の一部が轟音とともに崩れ落ち、闇夜を裂く火の粉が舞い上がった。

城内に響く叫び声と銃声は、まるで地獄のような混沌を描いている。


クラリッサは、魔導書を抱えながらも冷静を保とうとしていた。だが胸の奥では、焦燥と恐怖が入り混じる渦を感じていた。


「こんなに……多くの犠牲が出るなんて……」


彼女の視線は、窓の外にいる兵たちへと向けられた。激しい戦いの中、レオニスが前線で奮闘している姿が目に映る。彼の鋭い眼差しと確固たる意志は、彼女に微かな安堵をもたらした。


その時、書斎の扉が激しく叩かれた。


「クラリッサ殿下!外が大変なことになっています!兵士たちが押され始めています!」


忠実な家臣の声が緊迫していた。


「すぐに来てください、あなたの力が必要です!」


クラリッサは深く息を吸い、魔導書を閉じて立ち上がった。


「わかっているわ。私にできることは全てする」


書斎を飛び出し、彼女は急いで戦場の中心へと向かった。


城の広間では、指揮官たちが緊急会議を開いていた。


「敵の数が予想以上に多い。しかも新たな魔術師も加わっている。これでは長期戦は厳しい」


レオニスが前に出て、鋭い声で指示を出す。


「だが、この城が崩れれば王都はおしまいだ。俺たちが守らなければならない」


彼の決意は部下たちに力を与え、士気が少しずつ上がっていった。


外では、黒いマントの集団がさらに勢力を拡大し、城内への侵入を試みていた。


「いくぞ、城を落とすんだ!」


激しい衝突の中、クラリッサは魔力を解き放ち、敵を一掃していく。


だが、心のどこかで不安が渦巻いていた。


「これで終わるはずがない……まだ何かあるはず」


戦いの最中、見知らぬ少年がクラリッサの前に現れた。


「君の力を貸してほしい」


少年は真剣な眼差しで言った。


クラリッサはためらいながらも、その言葉に耳を傾けた。


「私は……あなたのことを知らない」


「でも、君には特別な運命がある。共に戦おう」


次第に、戦況はクラリッサたちの有利に傾き始めた。


レオニスの剣が敵の指揮官を打ち倒し、兵士たちの士気も高まっていく。


しかし、その裏で、城の中枢では新たな陰謀が渦巻いていた。


「クラリッサ殿下がこのまま力を強めれば、王家の未来は絶望的だ」


暗闇の中で呟く者がいた。


嵐のような戦いが過ぎ去り、静寂が戻った。


クラリッサは傷を負いながらも立っていた。


「まだ終わらない……私たちの戦いは」


彼女の瞳には新たな決意が宿っていた。

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