Death鬼ごっこ① 第一話
次回のデスゲームもまた、間隔が長かった。中々、開催されない。
(杏奈も岳人もいなくなっちまった……岳人を生き返らせたかったけど、アイツは自分の意思で死んだんだもんな……)
いきなり、なんでも願いを叶えるって言われても悟には特になかった。
(それにしても、未だに生きてるって奇跡だよな)
そんなことをぼーっと考える。何も起こらない。今までだったらゲームのことを考えているだけで開催されたはずなのに。悟は考え込む。最初のGMは自分の秘密に触れていいと言っていた。なのに今は触れるなと言っている。なぜなんだ? それにあのGMの偽物の笑顔。いつも笑っているけど、めったに感情を出さない。出した時といえば、侮辱された時と俺が助けようとして驚いた時ぐらいか? いや、あとレインが助けに来て、怒りは出ていたか……それ以外はずっと笑っている。本当のGMって何だろう。謎が多すぎて結論など出るはずもない。
「あ~、意味分かんねえ!」
ベッドにダイブする悟。するとぽっかりと穴が空いたように暗いところを落ちていく間隔に襲われた。
(……間隔変わった⁉)
気付くといつもの広間。悟は受け身を取れずに尻もちをついてしまった。
「あ痛っ!」
立ち上がると目の前に百夜がいた。
「ふん、無様だな」
(本当にコイツはムカつく!)
「きゃはは! 煽られてやんのー」
見上げるといつもGMがいたはずの場所に女の子が立っていた。目が大きく、真っ白の髪の毛をツインテールにしている。ゴテゴテの服装だった。いわゆる、ゴスロリという奴だろう。
「GMはどこだよ?」
「きゃはは! ゲームマスターはお休みだよぉ! だから代わりにユキがゲームマスターを務めることになったんだ! きゃはは!」
ユキは大きい目をぱちくりとさせた。
「なんでいないんだ?」
「きゃはは! なんでそんなことをいっぱい聞くのかな? あ、ユキ分かった~! 君はゲームマスターのことが大好きなんだねっ! 安心して! ゲームマスターは二階で寝てるよっ! 安心安全、
悟はユキと話をすると疲れる、と分かった。
「でもここには三人しかいないぞ?」
確かに、広間にはカレンと百夜と悟しかいない。
「今回は鬼ごっこなんだよ! ユキが鬼で走るから最初に捕まった人は死んじゃうんだよ! 悲しい悲しい、だよ!」
(鬼ごっこ……⁉)
「この屋敷は広いからね! 一階ならどこに行ってもいいよっ! 厨房もオッケー!」
ユキがハイテンションで言う。
「あと、ユキは速い速い、だよ! 頑張ってね!」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。GMは二階で寝てるって言ってたけど、どこか悪いのか?」
悟が聞いた。
「きゃはは! 君、本当にゲームマスターが好きなんだね! いいよ、ユキは優しいもん! 教えてあげるねっ! ゲームマスターはねえ、前回は無理してたんだ! 傷が裂けちゃって、痛い痛い、なんだよ!」
悟は驚く。傷が裂けた? そんなに深手だったのか? 前回の人狼は無理をしていた? それで動けなくなってユキになった?
「みんな、心配だよねっ! でもごめんね! 二階には行けないんだ! それじゃあ、ゲームを始めるよっ! ユキは十秒後にスタートするよっ! 10,9……」
ユキがカウントダウンを始めた。悟は慌てて広間から逃げる。カレンと百夜もそれぞれ逃げていく。
(一人が死ぬ……)
悟はこれ以上人は死んでほしくなかったが抵抗できるはずがない。それにユキは身体能力が高そうだった。
(とりあえず、逃げなきゃ)
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