Death人狼⑤ 第二話

 「朝になりました。昨夜の犠牲者は町田美雪さんです」

「う、嘘……町田さんが……! ふふ、あはは、あはははは! やっと死んだんだ! あははははは! もういじめられなくて済む!」

愛里が狂気的に笑い始めた。

(チッ。段々と参加者も狂ってるヤツが多くなってきたな……)

悟は苦々し気にGMを見る。GMは美雪が死んだことで上機嫌だった。

「それでは会議のお時間です。広間へお集まりください」

広間へと集まると、岳人が口を開いた。

「オレは絶対、愛里が人狼だと思う。自分で殺したんだろ?」

「え。ちょっと待ってください! わ、私じゃないですよ! 確かに町田さんにいじめられてて、町田さんが死んだのは清々してますけど、私はやってないの!」

愛里が必死に言う。

「でも正直言って、愛里が人狼なんじゃないか、と俺も睨んでる」

悟が言った。愛里は泣きそうな顔をしている。

「オレは愛里に入れるぜ」

「俺もだ」

愛里はついに泣き出してしまった。

「ひどい! どうしてみんな私をいじめるの? 私のことがそんなに嫌いなの⁉ 私に死んでほしいって思ってるんでしょ⁉ ひどいひどいひどい!」

顔を覆ってうずくまる愛里。悟と岳人は顔を見合わせる。

「別にそういうつもりじゃっ……」

「投票の時間です」

GMが二階でにやにやとこちらを見ている。どうやら悟たちの喧嘩を楽しんでいるようだ。

(ほんと、性格悪いよな……)

半ば呆れたような目を向ける悟。そして何食わぬ顔で投票した。

「開票します。今回、追放されるのは……高石愛里さんです」

「ひどい! ひどいひどいひどい! や、やっぱり私が役立たずだから? 私なんていらないってこと?」

GMが愛里の叫びを聞いてにっこりと言った。

「ええ。あなたは敗者ですから必要ありません! 今までありがとうございました!」

愛里の真っ青な顔がGMに向けられる。

「――」

何か言おうとしていたが何も言えないまま、上から降ってきた鉄の塊に押しつぶされて死んだ。

「それでは皆さま、お部屋にお戻りください」

悟がGMをキッと睨む。

「あんなこと、言わなくてよかっただろ」

「高石愛里さんに現実を教えてあげただけです。私は何もしていませんよ?」

「……チッ」

悟が部屋に戻った。

愛里の部屋の扉には×印。

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