Death人狼④ 第四話

 次の日、悟はまた城に集められた。崩れたはずなのに元に戻っている。生き残った百夜、カレン、沙也もいる。そしていつもGMがいたはずの場所には銀髪の少女が立っていた。

「……ゲームマスター不在のため、私から説明させていただきます」

銀髪の少女はそう言った。

「私の名前はレイン。どうぞ、よろしくお願いします」

レインはぺこりと頭を下げた。

「……GMはどうなったんだ?」

「ゲームマスターは意識が戻らず、ゲームマスターを務めるのは困難だと判断いたしました」

「じゃあ、生きてるんだな?」

「ええ。今回、皆さまを招集いたしましたのは、私とともにゲームマスターを探していただきます」

悟はしばし考える。

「……はあ? どういう意味だよ」

「昨日の深夜、ゲームマスターが何者かによって連れ去られました。なので一緒に探していただきます」

(連れ去られた⁉)

「ゲームマスターは意識が無いため、抵抗できず、そのまま連れ去られてしまいましたので皆さまのお力を貸していただきたいのです」

レインが少し俯いた。悟の隣でカレンがぐすっ、ぐすっ、と泣いている。

「わ、私があんなことを言わなければ……私のせいで死んじゃったんだ……!」

「馬鹿。GM自身が言ってただろ。正体を聞いてもいい、って。お前のせいじゃないよ」

「私のせいだ! 私のせいだ! 死ぬなら私が死ぬべきだったんだ!」

すると百夜が口を開いた。

「うるせえ。ギャーギャーわめくな。そんなに死にたいんだったら死ねばいい」

「おい、そんなこと言うなよ!」

悟が百夜を止めようとするが百夜はカレンをチラッと見てさらに言う。

「だって事実だろ? そもそも俺たちに殺し合いをしろ、と言ったのはGMじゃねえか。当然の報いだ」

悟が百夜を睨む。

「お前、もっと優しくできないのかよ。……そんなことばっかり言ってるといつか人が離れていくぜ。ずーっと一人ぼっちになるんだ!」

百夜が悟の胸ぐらを掴み、殴った。

「はっ。図星かよ」

「次、同じこと言ってみろ! ぶっ殺してやる!」

「図星だからって怒んなよ」

「それでは皆さまはこちらの世界で情報を集めてください。私は病院で聞き込みをしますので。それではくれぐれも死なないように」

レインがそう言った途端、悟たちはどこかへ飛ばされる間隔がした。

「それぞれペアごとに飛ばしますので」

気付いたら悟は街中にいた。ペアは百夜。

「チッ。なんでコイツなんかと」

悟は悪態をつく。一方の百夜はだんまりモードに入っていた。

「何を聞いたらいいんだろう? GMを見たことがあるか聞いてみるか? 最後、どこで見たか、とか」

百夜は悟を睨み、何も言わない。

(はあ……めんどくさ)

悟は街の人にどう聞けばいいのか分からなかった。似顔絵を? いや、無いし描けない。GMと言っても誰も分からないだろう。

「はあ……どうすればいいんだよ」

「………」

百夜は何も言ってくれない。

「とりあえず街の人に何か聞こうか」

悟が街の人に近づいていく。するといきなり百夜が悟の服を掴んで引き戻した。街の人が顔を上げると、ぐちゃぐちゃに腐った顔が現れた。

「あう……あぁ~?」

悟はその顔を見た瞬間、分かった。ゾンビだ――。

「逃げろ!」

悟と百夜は慌てて逃げる。そんな二人を追いかけてくるゾンビ達。途中で別のペアとも合流し、全員で逃げ惑う。

(死なないように、ってこういう意味かよ!)

悟たちは病院に逃げ込んだ。

「ここならレインがいるはず!」

病院内を歩く。

「皆さま、どうなさいましたか?」

レインがいた。

「どうなってんだよ、この街は! なんでみんなゾンビなんだ⁉」

「もう帰りたいよぉ~」

「落ち着いてください。今、この街はゾンビ症候群が流行していまして。悪魔の遊びというものです。数日すれば悪魔も飽きてくると思いますので」

悟たちは顔を見合わせる。意味が分からない。

「それでは病室に行きましょう。何か手掛かりが残されているかもしれません」

悟たちはレインについていった。

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