Death人狼① 第二話
悟は憂鬱な気分で部屋を出る。
「あ、おはよぉ、悟くん」
「ああ、小春、さんだっけ。おはよ」
「小春でいいよぉ」
「じゃあ、小春」
「えへへ~、ありがとぉ」
悟は適当に空いた席に座る。出された食事は完全和食。
「GMさ~ん!」
「何でしょう?」
「あのねぇ、小春、お腹いっぱいだからぁ、あげるぅ~」
「大変ありがたいのですが、私は既に朝食を済ませていますので」
「そっかぁ、じゃあ、悟くん、食べるぅ?」
「いや、俺も大丈夫」
「もし食べきれないのでしたら、置いといていただいてかまいません。後で回収いたしますので」
悟たちは食堂を出て広間に集まる。
「昨夜は襲撃がありませんでしたので死亡者はいませんね。では引き続き会議を進めてください」
「昨夜は人狼は動かなかったってことか」
「動いてくれれば分かりやすかったかもしれないのになあ」
薔薇がつぶやく。
「まあ、仕方ないよ」
「昨日も話したけど、占い師は?」
「わ、私が占い師です!」
杏奈が言う。
「杏奈か。もう占ったのか? 対抗は?」
誰も何も言わない。
「対抗なし、か」
「わ、私は……百夜さんを占って、白でした」
「じゃあ、杏奈と百夜は確白、と」
「他には?」
「いや、わざわざ人狼をCO《カミングアウト》する馬鹿はいねえだろ」
「そうだねぇ」
そして誰があやしいかを議論しているとあっという間に十五分を過ぎてしまった。
「投票の時間です。投票箱に投票用紙を入れてください」
みんな、顔を青ざめて震える手で投票箱に入れる。
「開票します。今回、追放されるのは……村上杏奈さんです」
「あ……そう、ですよね……占い師だから。悟くん、絶対に死なないでね」
そういうと、杏奈は距離を取る。杏奈の近くの窓が割れて鋭い刃となって杏奈の体を切り刻む。杏奈はバラバラになって血を吹き出しながら倒れた。いや、崩れた。
「あ、杏奈……」
間近でクラスメイトがバラバラになっていく。悟にだけは見えた。杏奈が死ぬ寸前に涙を流していたことを。
「おい、GM」
「何でしょう?」
「なんでそこで笑ってんだよ。なんでコレを見て笑えるんだ⁉」
「彼女は追放されて死にました。当たり前でしょう?」
「こんなふざけたゲーム間違ってる! 絶対にお前をぶっ飛ばしてやるからな!」
「もちろんかまいませんが暴力と二階に上がることは禁止されていますのでそこはよろしくお願いしますね。あと、彼女が死んだのはあなたたちが選んだからですよ」
そう言ってGMはまた消えた。
「………」
一同は大人しく部屋に戻る。杏奈の部屋の前には×印。
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