夢見る乙女じゃいられない
深川くらげ
case1:女子高生達の場合
「ねえ亜美~、今日放課後に寄り道しない?」
「んーどうしたの急に」
とある高校の昼休み。女子二人は中庭でお弁当を食べて、授業が始まるまで束の間の休息を楽しんでいた。しっかりと手を握り締めて。
「急にじゃないよ。だって、最近の亜美はなんか冷たいから」
「えー別に冷たくないよ。というか、弓香は勉強しているの?知らないと思うけど、今は自由期間じゃなくてテスト前だよ?」
「なん・・・だと・・・」
「あはは。その顔マジでめっちゃ面白いから止めて。私耐えられない」
二人はまごうことなき恋人。付き合い始めて3か月。一般的なカップルでも早ければマンネリ化というか付き合った時のノリと勢いがなくなり始めるころ。弓香はそれを懸念しているのかもしれない。
「亜美は本当にこの顔好きだよね」
「うーん?笑っちゃうってだけで、その顔が特別好きってわけじゃないよ?」
「えーうそ!絶対嘘じゃん!」
「嘘じゃないってー」
亜美は少し下を向く。そして少しだけ弓香と繋いでいる手の力を強くする。弓香はそれに気が付かないで亜美の顔に見惚れている。弓香は亜美が少し下を向いて瞼を少し閉じている姿がとても好きだ。まつ毛が長く、本当に一枚の絵のように見えるから。
「じゃあ嘘じゃないって証明してよ」
「もう、証明って小学生男子じゃないんだから」
「何時何分何秒地球が何回回ったとき!?」
「それはもう本当に小生意気なだけの小学生男子じゃん」
ツッコみを入れながら亜美はケラケラと笑う。亜美は笑うと目を細める。それが見たくて弓香はついついボケに走りがちになる。
「あはは。でもちょっとでいいから証明してほしいな」
「あーもう、今学校だし昼休みだって事忘れていないよね?」
「もちろん忘れてないよ。でも、亜美が言った通りテスト前だからさすがに帰って勉強しないとって私も思っているよ。でも、やっぱり寂しいもん」
「・・・はぁ」
亜美は手を繋いでいない方の手のひらを自分のおでこに当てて、やれやれと首を振った。弓香はこうなると本当にちゃんとしない限り折れない。昼休みは後5分で終わる。
「弓香」
「うん」
「まず言葉で表しておくね。この言い方はチャラい男子みたいで嫌なんだけど、弓香の顔がすっごく好きなの。あとね、声。これは初めていうかもしれないけど、弓香の声が今まで出会ったどの女の子よりも好き。落ち着くんだけど、少しだけドキドキするの。あとね、目が・・・」
「あ、あ、亜美!」
「うん?どうしたの?」
「じ、自分で言っておいてあれなんだけど、その顔から・・・火が出そう」
弓香の顔はさっきとは打って変わって真っ赤を超えてマグマのような色になっていた。そしてそれに気が付かないくらい亜美は弓香の良いところを言い続けていた。
「あれ、本当だ。じゃあこれくらいにしておこうか」
「う、うん。亜美が私の事を本当に好きなんだってわかって私嬉しい」
恥ずかしかから俯いていた弓香が顔を上げた直後。弓香の唇に柔らかいものが押し付けられた。
「・・・!?」
「さて、昼休みが終わっちゃう!行くよ弓香!」
亜美は何事もなかったかのように立ち上がり。弓香の手を引いて歩き出した。弓香は何が起こったのか理解できないまま歩き出した。これが弓香と亜美のファーストキスだった。
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