第13話 絆の指輪と黄金の決意

 ──あれから数日後……。


「ん? これは……」


 僕は、おもちゃの指輪を眺めていた。


 物置の整理をしようとして片付けていたら、おもちゃ箱から出てきたんだ。


「黄色く透き通った石がはめ込まれてる。確か昔、遊び半分で作ったような……」


 あー、思い出してきた。


 一時期、宝探しと称して綺麗な石とかを集めてたんだっけ。


 指輪の土台とかも見つけたから、はめ込んで魔力アップの指輪と言い張って遊んでいたんだ。


 うっかり無くして忘れていたけど、こんなとこに入ってたんだな。


 僕はリビングに戻り、思わず懐かしい気持ちに浸る。


「シオンく〜ん、何してんの〜? あっ! それは!?」


 すると、ローザがやってきてパタパタと僕に駆け寄る。


「も、もしかして、ワタシへの贈り物なのかな?」


「えっ? これは、その、なんだ……うん?」


 予想しなかった展開に僕は思わず狼狽える。


「ありがと〜! わぁ、キレイ! ワタシへの結婚指輪、うれピ〜ッ♪」


 ローザは僕から指輪を受け取ると、涙を流しながら感極まる。


「お、おおい、ちょっと大げさ……うわっ!?」


 瞬間、ローザの体がピカッと輝き、チュドーンという音と共に爆発し僕の家が半壊する。


「……ブホッ……!」


 僕はマンガのように黒焦げになり、口から煙を吐き出す。


「わああ〜っ! ゴ、ゴメン、シオン君! だいじょぶ? すぐに全部戻すからぁ〜っ!」


 ローザは涙目になり、両手を広げて光を放つと、光の粒が舞い始める。


 家や家具の残骸が巻き戻るように集まり、真っ黒になった僕の体が綺麗になる。


 そして、家と僕は爆発する直前の状態に完璧に元通りになった。


「あー、びっくりしたよ。にしても、すごいな、元通りに戻す事が出来るんだな」


「う、うん……最大、数日前の状態にまで戻すことは出来るかな……局所的な時間逆行……的な?」


 ローザは羽根をしょげらせ、上目遣いで申し訳なさそうにする。


「まあ、あれだ、周りに被害がなさそうで良かったさ。次から気を付ければ良いんだよ」


「エヘヘ……うん♪」


 ローザの表情がパァッと明るくなる。


 ちょっと僕、偉そうだったかな。


「あれ、指輪の形が?」


 ローザの指にはめられた指輪は石、土台、共に綺麗に修復され、立派なものになっていた。


「あ、シオン君からもらった指輪、壊れたらヤダだから破壊不能の永続処置をしておいたんだよ〜♪」


「地味にすごいんだけど!?」


「小さなもの限定だけどね〜。よし、名前は『黄金星雲の指輪』にしようっと」


 ローザは、はしゃぎながら僕に指輪を見せてくる。


「微妙に名前が長い。……指輪の土台は金色で、石の中に星が入って光ってるんだな」


「シオン君の愛が染み込んでてねっ、ワタシの超常の力を倍にする効果があるっぽいよ♪」


「染み込んでとか表現が怖いわ! ホラーにしようとするなーっ!」


 はしゃぎながらアップで迫るローザの頭を両手でワシッと掴んでみる。


「たから、ホラブコメディ♪」


「そんなジャンル、あってたまるかっての!」


 しばらく間抜けなやり取りを続ける。


「ありがとね、シオン君。この指輪を付けてれば、きっと暴走はしないよ」


「ん?」


「シオン君の気持ちがこもった指輪は、ワタシの心を温めてくれるから、とっても落ち着くの。もう、だいじょぶだよ……」


「そっか、それなら良かった」


 また暴走したら大変だもんな。


 僕はローザの頭を撫でてやる。


「フワァ〜、気持ちいい〜♪」


 ローザは気持ち良さそうにトロンと笑顔になる。


 ……もし、万が一だけど、またローザが暴走することがあったのなら、それを止められるくらいの力が欲しい。


 今すぐは、さすがに無茶すぎるけど、いつか、必ず……。


 僕は心の奥で静かに決意する。

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