ヒフンと魔法の王国

@WriterDavid

第1話: はじまり…

第1章


ヒフンは田舎道を歩きながらも、心は大きな希望で満ちていた。背中にはセツキの剣を背負い、体の動きに合わせて揺れている。


> 「僕の名前はヒフン。ミルティ王国に住んでいる。ここは第5の階層の世界だ。世界の階層が高くなるほど、そこに存在する気の圧力も大きくなる。そのため、上位の世界にいる人々ははるかに強力だ。しかし、もっと上の世界へ行くことは…非常に難しい。歴史上、16階層の世界まで行った者は一人だけだが、今はその行方がわからない。聞くところによると、高位の世界は美しいらしい…自分の目で見てみたい。でも、上に行くにはいくつもの条件を満たさなければならない」




ヒフンは小さく息を吐いた。

「いつか上の世界を見てみたいな…」と、そっとつぶやく。


> 「父は王国で兵士として働いていて、僕は剣の弟子として教わってきた。王国の中心にはレフォルト学院があり、そこでは魔法と剣術を学ぶことができる。明日、僕は入学試験を受ける予定だ」





---


その夜、質素な家の食卓で、ヒフンは両親と共に座っていた。


「父さん、明日レフォルト学院の試験を受けるんだけど、セツキの剣を持って行ってもいい?」

父は短く微笑んだ。「もちろんだ、ヒフン」

母も優しく付け加えた。「試験は朝8時からよ。遅れないようにね」

「はい、お母さん」とヒフンは小さく笑った。


夕食を終えると、彼は自分の部屋に戻り、横になってゆっくり眠りについた。夢の中では、上の世界の光景が浮かんでいた。



---


翌朝。


「行ってきます!」ヒフンは背中に剣を背負いながら声を上げた。


意気揚々とレフォルト学院へ向かう。荘厳な門の前に立った瞬間、彼の目は大きく見開かれた。高くそびえる建物は力のオーラを放ち、周囲には多くの強そうな生徒たちが行き交っていた。


ヒフンは勇気を振り絞って一人に声をかけた。

「すみません、新入生の試験はどこで行われますか?」

その人は振り向き、「ああ、講堂のことか?」

「多分そうです」とヒフンは少し不安そうに答える。

「じゃあ、ついてきて」


二人は歩きながら話す。


「ところで、君の名前は?」

「レイ。君は?」

「ヒフン。よろしく」

「よろしく」とレイは薄く笑った。


講堂の前に着くと、レイは大きな扉を指差して言った。

「ここが新入生の試験会場だ」

「ありがとう、レイ」

「どういたしまして」



---


講堂の中で、ヒフンは女性の教師に近づいた。


「すみません、ヒフンと申します。新入生の試験を受けたいです」

教師は微笑みながら頷いた。「わかりました。ついてきて。試験は三段階あります。まず魔法、次に剣術、最後に筆記です」


彼らは一つの部屋へ向かった。


「まずは魔法の試験です」と教師。「火の玉を作れますか?」

「はい、できます」

「よし。前に魔力測定用の石があります。そこに火の玉を投げて、威力を測ります」


> 「火の魔法はあまり練習してないけど…平均点は取れるはず」とヒフンは心の中で考えた。




彼は右手をかざし、小さな火の玉を作った。

「ファイアボール!」


火の玉は飛び、石に当たって小さな爆発を起こした。

「なかなか良いわ。結果は夕方に出ます」

ヒフンは少し息を切らしながら頷いた。「はい、先生」



---


次の部屋へ移動。


「ここは剣術の試験会場です」と教師。「この試験は、試験官と剣を交えて戦います」


教師は木剣を取り出し、すぐにヒフンに向かって振り下ろした。

反射的にヒフンはセツキを構えて攻撃を防ぐ。

「反射神経はなかなか良い」と教師は褒める。


ヒフンは連続で攻撃を繰り出すが、教師は軽々と防いだりかわしたりする。

ヒフンが再び攻撃すると、教師は跳躍し、上から斬り下ろした。

「うっ…!」ヒフンは体を震わせながら防ぐ。


後退して素早く斬撃を連続で放つが、教師は簡単にヒフンの手をはじき、セツキを弾き飛ばす。木剣はヒフンの胸の前で止まった。

「負けだ」と一言言い、剣を下ろす。


ヒフンは深く息を吐き、悔しそうに床から剣を拾った。

「まずまずね」と教師は薄く笑った。「では次は筆記試験です」



---


筆記試験の部屋は静かで、長机が並ぶ。ヒフンと教師だけ。


「他の者はすでに試験を終えています」と教師は言い、問題用紙と鉛筆を手渡した。

「終わったら、私の机に置いてください」

「はい、先生」


ヒフンは問題を解き始め、わからない問題は飛ばす。


長い時間が過ぎ、夕方になり、ヒフンは試験用紙を机に置いた。

教師は軽く目を通す。「魔法の試験、合格です」

「本当ですか!?」ヒフンは満面の笑み。

「他の試験結果は明日発表します。合格すれば、君の名前は1Cクラスの掲示板に載ります」

「はい、先生。ありがとうございます!」


教師は微笑む。「明日も忘れずに来てください」



---


帰り道、ヒフンは夕暮れの空を見上げ、新たな希望を胸に誓った。

「合格しますように…」と、笑顔でつぶやく。

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