第16話 消えたスマホ
いつも、ベッドの近くでスマホを充電している。
その日、なぜか夜中に目が覚めた。
今何時だろうと手に取るつもりで探ったが、いつもの場所に無い。
落ちてしまったのかと思い、眠い目をこすりながら電気をつける。
急な明かりが目に染みた。
布団の中も、机の上も探したが見つからない。
一体どこに置いたっけ…。
でも、確かに充電器に差したはずなんだけどな…。
その時、玄関の方でスマホが鳴っているのが聞こえた。
音のする方へ移動する。
やっぱり玄関にあった。
靴箱の上に置かれているのを見て不思議に思う。
夜ご飯の後も使っていたから、こんな所に置くはずもないのにな…。
そう思いつつ、鳴り続けているスマホを手に取って、固まった。
画面は真っ暗なのに、なぜか着信音だけが鳴り続けている。
何度かタップしてみたり、横のボタンを押したがディスプレイが光らない。
その間も延々と着信音はなり続けていた。
壊れてしまったのだろうかと真っ暗なその画面を見て、俺は思わずスマホを投げ捨てた。
鏡の様に俺が反射して映ったそのすぐ後ろ……。
知らない顔が左肩の方からじっと覗き込んでいた――。
最後に見えたそいつの口がゆっくりと何かを話しているように動いていた……。
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