新たな仲間
第27話 週明けの呼び出し
週明けの月曜日、そのお昼休みのこと。
普段、あまり学校で話しかけてこない夢月が、わたしのところにやって来た。
わたしは丁度紗都希ちゃんとご飯を食べ終えて、公開収録の時のことをまた話そうとしていた時のこと。
「なあ、美星」
「どうしたの? 夢月」
「ちょっと話がある」
「……?」
手招かれて、ついて行く。教室を出た直後、後ろから悲鳴が上がった気がしたけれど、紗都希ちゃんたちがどうにかしてくれると思っておこう。……女子の逆恨みって怖いんだからね。
(あとでネチネチ言われそうだなぁ……もう慣れたけどさ)
ため息をつきたくなるのを我慢して、わたしは夢月について行った。すると彼は渡り廊下を移動して、人気のあまりない移動教室で使う教室が並ぶ方へと歩いて行く。
「夢月、あんまり聞かたらまずい話?」
「ああ。そういや、シャリオは?」
「ここにいますよ、夢月様」
シャリオちゃんが、わたしの肩から顔を出す。不自然だとは思ったけれど、わたしが椅子から立つ直前に制服のポケットに滑り込むのを見ていたんだ。
それを見て、夢月はほっと肩の力を抜いた。
「よかった。シャリオに聞きたいこともあったんだよ」
「わたしに、ですか?」
「ああ。……昨日送っただろ? 休み中にデメアに遭遇して、居合わせた人と一緒に倒したって」
夢月は立ち止まると、わたしたちの方を向く。顔が良くて、体格もわりと引き締まっている。そんな幼馴染が斜に構えているのは、なんとも絵になる。本人には言わないけれど。
「うん。その人、星の王国か月の王国、どちらかの人の記憶持ってたって」
「あっちも仕事があったみたいだから、詳しくは聞けなかったけどな。……で、ここからが本題」
わたしたちは、屋上へと繋がる階段に腰かける。
「詳しくは週明け話すって言ったと思うんだけど……」
夢月が見せてくれたのは、スマホの画面。メッセージアプリの友だち欄に、見たことのない人の名前があった。
「……『
「俺を助けてくれた人の名前。何処かで見たことある顔だなぁって思って名前で検索したら、この人が出て来たんだ」
すいっと画面を切り替えたスマホを見て、わたしは思わず「あっ」と声を上げる。
「この人……!」
「やっぱり、美星なら知ってると思った。よく、本原と喋ってるもんな」
「そうだけど……まさか、嘘でしょ……」
表示されていたのは、アイドル・ツインスターの片割れ、優依の画像。多分、宙井というのは本名の名字だ。
「わたし同じ日、ツインスターが出てるイベントに行ってきたんだよ? 夢月も知ってると思うけど」
「知ってる。後で調べたけど、美星たちが行ったイベントの後だったんだ。俺が優依さんに会ったのは。だから本当は、そのイベントの後にも仕事が控えてたんだろうな。急いで行っちゃったから」
連絡先を交換し、すぐに別れたと夢月は言う。
「そう、だったんだね……。夢月、その友だち欄、特に女の子に見せたらダメだよ? 殺される……」
「……くはっ。なんだよ、殺されるって。美星以外に見せることないから大丈夫だ」
くすくす笑う夢月に、冗談じゃないんだよと言い含める。それからふと思い出して、膝に乗っているシャリオちゃんを見下ろした。
「そういえばシャリオちゃん、ツインスターのこと気にしてたよね? 二人のこと、知ってるの?」
「そうなのか?」
身を乗り出す夢月とわたしに見つめられて、シャリオちゃんはわずかに視線を彷徨わせた。そして、ふぅと息をつく。
「いつか言わなければならないと思っていましたが、そろそろということですね」
「シャリオ?」
「シャリオちゃん……?」
どういう意味だろう。不安になるけれど、そんなに悪い意味ではないよね、きっと。
「教えて、シャリオちゃん。あなたが捜してる姫様と王子様と、ツインスターの二人は関係があるの?」
「あります。ですが、お話するには昼休みは短いです。放課後、どちらかのおうちで話してもよろしいですか……?」
確かに、昼休み終了まで後十分もない。次の授業は、日本史だったかな。
夢月は頷き、立ち上がる。
「了解。んじゃ、俺んち集合な。美星、それで良いか?」
「え? うん、いいよ」
「決まり。じゃあ、教室に戻ろう」
「そうだね」
教室に戻ると、クラスの一部の女子からの視線が痛かった。だけどそれに気付いた夢月が睨んで、何もなく終わる。
ほっと胸を撫で下ろして自分の席に戻れば、紗都希ちゃんが「お疲れ様〜」と待っていた。わたしが席に座ると同時に、シャリオちゃんは鞄に戻る。
「お疲れ様。女子たち、怖いねぇ」
「あはは……。でもみんな、夢月に嫌われたくないだろうから、実害はないよ」
「今のところはね。次の日本史、小テストとかなかったよね?」
「ない、はず」
そんな話をしている間に、チャイムが鳴って授業が始まる。一応授業には集中していたけれど、頭の片隅ではシャリオちゃんたちとツインスターの関係が気になって仕方がなかった。
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