第30話
その綺麗になったテレビの画面の中にはずっと見たかったテレビの中の人の顔が映っていた。
そのテレビの中の人の本当の顔を見て「綺麗」とまめまきとひまわりは声を揃えてそう言った。
「まめまき。ひまわり。手を出して。こっちにいらっしゃい」とテレビの中の人は笑顔で二人にそう言った。
ずっと真っ暗だった幽霊の暮らしている世界に眩い光が差し込んでいる。その光はとても大きな光になって、幽霊の二人を、世界を、優しい気持ちと一緒に包み込んでいく。
その不思議な温かい光の中でまめまきとひまわりはあったかいと(穏やかな気持ちのままで)そう思った。
まめまきとひまわりはその小さな手をテレビに向かって伸ばした。
するとその二人の小さな手をテレビの中の人の光り輝く手がテレビの中から伸びてきて、片方ずつ、しっかりと捕まえた。
(次にまめまきとひまわりが目を覚ますと、そこはずっと憧れた外の世界の中だった)
あなたに手を引かれて。
この世界から消えてしまったもの 終わり
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