7話:駆け出しの冒険者
「『
焔弾の連射でグールの群れを焼き尽くす。オーバーキルにならないように、次の戦闘から第2
ドロップアイテムもそれなりで、俺は鉄の盾とチェインメイル、小手と脛当てにブーツを手に入れる。一通り装備するとジャージが完全に隠れた。これで不審者には見えないだろう。
しばらく2階層で戦闘を続ける。この身体で戦うことに慣れて来たから、魔物の数が少ないときや、魔法を使わない魔物は剣で仕留める。
メイと手合わせしているときは、相手が格上だから気づかなかったけど、魔物と戦うことでステータスの高さが実感できる。
次に遭遇したのは4体の
魔法は速過ぎて、発動する前に軌道を予測して回避しないと
――――――――――――――――――――
名前 :如月エイジ 17歳
クラス:
サブクラス:
HP 236
MP 325
STR 56
DEF 55
INT 96
RES 95
DEX 63
AGI 63
[スキルリスト]
テストプレイ レベル15
――――――――――――――――――――
エイジ・マグナスだった頃は低いステータスで苦労したから、今のステータスの凄さに思わずニヤリとしてしまう。
だけど己惚れるつもりはない。ステータスが全てじゃないことは良く解っている。ステータスに頼るんじゃなくて、上手く使いこなして戦えるようにならないと。
2階層でも十分戦えることを確認して
俺は1階層に戻ることにする。だけどダンジョンの外に出るためじゃない。『ラストダンジョン』を自分で作ったメリットを活かして、効率良く攻略を進めるためだ。
1階層の
「
『
冒険者は自己責任だから助ける理由はない。だけど身体が勝手に動いていた。このダンジョンを作ったのは俺だから、助けられる相手を見捨てる選択肢はない――なんてカッコつけるつもりはないからな。
俺は正義の味方じゃないし、特に善人という訳でもない。今の俺なら1階層の魔物に後れをとることはないから、気まぐれで助けようと思っただけだ。
俺が駆けつけると、10代半ばの冒険者たちがオークと戦っていた。オークが5体に対して冒険者は4人。冒険者は全員傷を負っていて、1人はすでに血塗れで倒れている。
オークは1階層だと強い方の魔物だけど、それでも2レベルの戦士なら十分に勝てる相手だ。この4人は全員1レベルの初心者か、これまでの戦いで消耗した後にオークと遭遇したんだろう。
時間を掛けている暇はないから、『
「おい、大丈夫か!」
まだあどけなさの残る少女が、血塗れで倒れている仲間を抱き抱えて泣いている。胸に深い傷を負っているけど、まだ息はあるな。
「早く回復させないと不味いぞ」
「私……もう
ここまで来たら乗り掛かった船だ。俺は2階層の魔物からドロップした1本しかないポーションを怪我人に掛ける。瞬く間に胸の傷が塞がって呼吸が安定する。
「とりあえず、これでもう大丈夫だ」
「ありがとう……もう駄目かと思ったわ……」
「助かったぜ……一応、礼は言っておく」
戦士系クラスの男子がバツが悪そうな顔をする。気が強いことは冒険者として欠点じゃない。だけど
前世でブラック企業のサラリーマンだった俺は、上司のパワハラに慣れているからこの程度のことじゃ怒らないけど。
話を聞くとこの4人――
「今日はたまたま俺が通り掛かったけど、もっと慎重に行動した方が良い。これからは魔力に余裕があるうちに帰るんだな」
冒険者は常に死と隣り合わせ。油断したら不意打ちでパーティーが全滅するなんて良くある話だ。特にレベルが低いうちは少しでも消耗したら帰るくらいじゃないと生き残れない。
「何だよ、偉そうに! おまえだって1階層を攻略しているんだから、俺たちと大してレベルは変わらないだろう! ソロでダンジョンに挑んでいる奴が、慎重に行動しているって言うのか?」
言い返されることは予想していた。ドロップした装備のおかげで冒険者らしく見えるけど、ジャージ姿のままだったらもっと不審に思われただろう。俺も気まぐれで助けただけだから、別に感謝されたい訳じゃない。
「ダルク、止めてよ! エイジさんが助けてくれなかったら、私たちは全滅していたかも知れないのよ!」
司祭のシーダが深く頭を下げる。
「助けてくれて、本当にありがとうございました。このお礼は必ずさせて貰います」
「礼なんて要らないから。それよりも今の状態で魔物に遭遇したら厳しいだろう。ダンジョンを出るまで一緒に行動しよう」
ダルクに文句を言われたのに手を貸そうとしているのは、シーダに対して下心がある訳じゃないからな。この状況で放置したら全滅する可能性が高いからだ。
カイルが目を覚まさないのは、血を流し過ぎたからだろう。リアルになったこの世界でHPは身体を包むバリアのようなモノだ。
HPがあるうちはダメージを受けても、痛みを感じたり身体の表面が傷つくだけで、行動不能になるような大きな怪我を負うことはない。
HPを超えるダメージを受けるとバリアを失った
意識の戻らないカイルを抱えて、魔力が尽きたシーダたちが魔物に遭遇したら、相手がゴブリンやスライムでも手こずるだろう。
「そこまでして貰うのは本当に申し訳ないですが……すみません、お願いできますか?」
シーダも自分たちの状態が解っているんだろう。申し訳なさそうな顔で俺の申し出を受ける。ダルクは文句を言ったけどシーダが黙らせて、魔術士のフォックスは何故か俺をじっと見ていた。
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