其の拾 クイズ勝負?

「ふわああ……」


次の日。オトが起きた時、エイナが現世玉を見ていた。


「エイナ、どこみてるの?」


オトがエイナに近づいて問いかける。

かすかにチュンチュンという声が聞こえる。


「小鳥だよ。日本の小鳥」

「小鳥?なんか音が聞こえる気がするんだけど……」

「Yes!そうなの!」


エイナは小さいリモコンのようなものを上にかかげた。


「Look at this!」

「え?なぁに、コレ?」

「ダルサが届けてくれたんだ!Remote control!」

「え、リモコン?」


オトがリモコンを借り、まじまじと見つめる。


「これで音量出せるんだ。音量0になってたけど、今10中6にしてるから」

「ほへえ……。っていうか、ダルサ地味に意地悪」


2人はぼおっと現世玉を見つめる。

チュンチュンという音が耳に響き、朝のすがすがしさが伝わる。

他の科目女子達も起き始める。


「わあ、いい音だね」

「小鳥かな?」


ざわざわと騒ぐ科目女子達。

するとカナが口を開いた。


「にしてもさ、もっと早く届けてくれたらよかったのにね」

「ほんっとだよね」

「ねえ、思ったんだけどさあ……」

「ん?」


「ダルサに直接殴り込めばいいんじゃない?」


その言葉に一時沈黙、そして一気に声が上がった。


「いいじゃんそれ!」

「あっちからばっかじゃ気にくわないしね!」

「そうしようよ!ね!」


その声に一瞬ひるむカナ。


「ねえ、オト!やろーよ!」

「もちろんだよ。ヒカリも手伝ってくれるでしょ」

「もちろん!だってアイツとは150年前にああでこうでああで…」

「その話はいいからぁ」


カズはボケッと皆を見つめている。


「9級の私はどうすればいい?」

「あっ……」


一時沈黙した皆。この中では一番戦闘力が低いカズをどうするか。


「じゃあさ、戦略係にしたら?」

「おー、いいじゃん」

「あのさ、思ったんだけど」


カズが手を上げて話す。


「ここは教科書の神らしく、クイズで勝負したら?」


皆がえっという顔になる。


「クイズ?」

「だって、神が喧嘩なんてしないに限るでしょうよ」

「ま、そだけどさ」

「それに、あっちはおもちゃ。余裕でしょ」

「確かにぃ……」


皆が納得して、満足するカズ。


「じゃ、クイズ作るのはカズだね」

「え、なんで?」

「だって算数だよーー?頭いいってことじゃん」

「いやその理論分からん。って、私算数のクイズだけになるけど?」

「例えば」

「リーマン予想について説明せよとか」

「リーマン予想ってなんだっけぇ」

「え……」


クイズづくりはすぐに始めることができなかった。

カズがリーマン予想について長々と語り始めたからであった。

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