物には神が宿ってる

かえで

――プロローグ――物に宿る神

「物には神様が宿ってるからね。大切にするんだよ」

そんな台詞を一度は聞いて10年__。

本当に物に宿っている神が大集結したのだった。


「ねえ、カナ?せっかく私たちの場所手に入れたのにまだ本読んでるの?」

「だって、今いいところなんだもん……」

そんな会話をしているのは、教科書の神。

せっかくだから全員紹介しよう。


「もお、早く一緒に遊ぼ?」

腰に手を当てる家庭科のイト。

「いいとこなんだってぇ」

本を読み続ける国語のカナ。

「12,24,36,48,60・・・」

12の倍数を数える算数のカズ。

「うわあ、やっちゃったあ。ちょ、イト!手伝って!」

実験に失敗した理科のヒカリ。

「なにやってるの皆!さ、Let's play together!」

英語を話す英語のエイナ。

「私、結構いい絵かけたんだ~。みてみて!」

絵を描いている図工のアナ。

「はしゃいでる皆に一曲。♪♬♩♬♩♪」

即興で歌を作る音楽のオト。

「壇ノ浦くらいはしゃいでるじゃん。」

壇ノ浦の戦い好きの社会のミライ。

このメンバー全員教科書に宿る神だ。


さて私たちの場所とは何か。

実は物に宿る神が全員集合して、そこに住めるということになったのだ。これを考えたのは人生の神、ノアール・ジェニファーである。

そこで場所を手に入れたため、そんなはしゃいでいるのである。


「う~ん。そろそろ寝ていかぁ」

ねむそうにオトを見るイト。

「いいよ~。じゃ、子守歌に一曲♪」

オトがラララとうたいはじめる。


そんな日常が続く。そのことにみんなはワクワクしていた。

どうかトラブルがありませんように。

そう皆が願うのだった。

でも、そんな簡単にいくわけがない。

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