9:【故事成語】

読み:こじせいご

意味:古代中国の事件や、その時代の人物の言動を基に生まれた言葉


 見栄え:★★★☆☆(読んで字の如くではあるが高尚で格式高い雰囲気はある)

 残念度:★☆☆☆☆(ただの言語学的分類。それ自体に残念さはない)

ギャップ:★★★★★(雰囲気に反して意外にも残念ワードの宝庫である)


解説:


 ここのところ故事成語ばかり紹介している気がするので、ここで一つ故事成語というものの残念さについても注目してみたい。


 故事成語とは、主に古代中国における歴史的な事件や有名な人物の言動を基にして生まれた言葉である。


 特徴として教訓的な言葉が多く【ことわざ】と混同されがちである。

 故事成語はその定義からして必ず具体的な出来事に由来していなければならないが、ことわざはその限りではない。


“限りではない”ということは、ことわざと故事成語の双方に跨がる語句があっても良いと言うことである。混同されている方がむしろ正しいことも多い。


 勿論、全ての故事成語がことわざに含まれるわけではない。

 ことわざとはみなされない故事成語としては例えば【閑話休題】などがある。


 ……というわけで本題に戻ろう。



 故事成語とはあくまで分類であり、それ自体が残念なわけではない。


 しかし故事成語とみなされる語句の中にはこれまで紹介してきたようにやたらと残念なワードが多いというのもまた事実である。


 実のところこれは偶然ではない。


 故事成語の中には【蝸牛角上の争い】や【漁夫之利】のような諸侯を諫めるための寓話が数多く含まれている。


 諸侯とはすなわち一国の王。

 ナーロッパの王を相手取るように庶民が気安く語りかけようものなら不敬罪で処刑される身分である。

 そんな相手に対して直接的に「貴方は間違っている」と進言できるはずもない。


 そこで古代中国の思想家は諸侯が自ら間違いに気付くよう残念な例え話に思いを託した。

 そのエピソードを基にした言葉が残念な故事成語として現代まで伝わっているのである。



 筆者がこうして弄んでいる残念な言葉の中にも、あるいは国や時代をよりよく変えるための死に物狂いの工夫が隠されていたりする。


 エンタメとして愉しませていただいている身ではあるが、故人の決死の思いに対する敬意だけは心の奥に持ち続けていたいものである。

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