第2話
「まずは小型船で基本の動きを覚えましょう」
アラタは指示通りに宇宙船を動かそうとしてみる。
だが、宇宙船はあっという間に錐揉み状態となって明後日の方向に突っ込んでいった。
「あらら。大失敗!でも、安心してね。覚えられるまで何度でもチャレンジできるから」
宇宙船は気がつけば元の位置にリスポーンしていた。
アラタはもう一度、操作をしてみる。
だが、今回も結果は同じだった。
「難易度高すぎだろ・・・」
思わずそう愚痴る。
「ここだけの話。開発陣でも揉めたんだよね。ゲームとして成り立たないって」
「おいおい・・・。なら、もっと簡単にしてくれよ」
「採用されたのがこれだからね。文句を言ってても何も解決しないよ」
「そうですね・・・」
アラタは文句を言いつつも何度もチャレンジする。
その結果、真っ直ぐ飛ばすことに成功した。
「今日はここまでかな?バイタルがやばいよ」
ナナに言われて腕についているデバイスを確認する。
時間を見れば実に10時間以上、挑戦していたことになる。
本当にバイタルがやばければ自動的に接続が解除されるセーフティーが組み込まれているとはいえこれ以上続けるのは危険だろう。
「今日はここまでか・・・」
「接続を解除するよ。またのお越しを待ってるね」
ナナのそんな声を聞きつつログアウト処理が開始された。
しばらく待っていると現実世界に無事戻ってくる。
「ふぅ。流石に疲れたな。飯を食ったら寝るか」
アラタはプロメテウスの中から出て、買い置きの食料を取りに向かう。
「今日は何にするかな」
そう言って冷凍庫の中を漁ると定期購入している冷凍食品の中から炒飯を見つけたのでそれを手に取る。
電子レンジにそのまま放り込みインスタントの中華スープを椀に入れてお湯を入れる。
最近の冷凍食品やインスタント食品は味も良いし栄養バランスも考えられている。
それを考えれば自炊なんて馬鹿馬鹿しくてやってられなかった。
温め終わった炒飯を取り出しそのまま食べる。
暇つぶしに端末から星屑の勇者達と検索をかける。
そのままご飯を食べつつ目についた提示板を覗いてみる。
提示版はチュートリアルをすっ飛ばした人達で荒れていた。
ドックを出た途端に船は大暴走。
建築物にぶつかったりして船は大破。
それだけでなくぶつけた建物の修繕費を要求されて借金漬け。
やはりチュートリアルを受けておいて正解だったようだ。
いくら請求されているのかはわからないが誰だって借金なんて背負いたくないだろう。
一応、救済処置はあるようだが、ゆっくりチュートリアルをこなしていくのが正解だろう。
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