ツッコみ勇者、この世界をツッコみで救います?俺しかツッコみ役いないの?そうですか…。

とびし

一章 世界の仕組み?

第1話 この世界って…何?

「ねぇねぇ、平突(へいとつ)?」

「あのな…何回言えばその呼び方やめてくれる?」

 まぁ…珍しいからなんとも言えないんだけど。平々突平(へいへいとっぺい)って…珍しいとかで済ませていいの?いないよね、日本に。だって、作られたんだし、名前。俺の相棒、隣のこいつだってなかなか面白い名前だ、只野木瓜(ただのぼけ)。うん、いつ見ても悪口だ。

「で、なんだよ?」

「黄帝って言う皇帝が居たんだってさ」

「…え?それだけ?」

「黄帝ペンギン、黄色そうじゃない?」

「あのな、ペンギンの皇帝は黄の方の皇帝じゃない」

 何?急にきょとんとした顔で…まさか?!お前…。

「黄色いペンギンだと思ってたのか?!」

「あはは、そんな訳ないじゃん!ただのボケだって!」

 う~ん…よく考えてみればキングペンギンも皇帝ペンギンもカラーリング的には…黄色が入っているような気がするよな…?いや、何を納得させられているんだ、俺は。

「ははは、面白いな、お前は!」

「うん、絶対に思ってないよね?」

 木瓜の頭を撫でくり回す。木瓜は…なんていうか犬みたいなんだよな。頭撫でられるのって…結構嫌だと思うんだ。うん。

「所でさ、ここはどこなんだろうね?」

「ついに…ボケに浸食されてしまったのか?」

 あはは…はは…。はぁ…現実逃避は辞めるか。本当にどこなのここ?見渡す限り草原な訳で、俺らってさ?さっきまで学校に行っていたと思うんだ。俺までボケてる訳じゃない。なんていえばいいのか…。

「異世界転移ってやつなのかな?」

「そんな訳ないだろ?見てみろ?あれだって…山…?」

「富士山じゃない?」

「待て待て、富士山なんだとしたら相当近いし、そもそもあの山、雪積もってないぞ?時期的には雪化粧してるだろ?」

「あはは!丸裸って事だね!」

 何を嬉しそうにしてるんだ!裸って単語で喜ぶのは小学生まででしょうが!いや…割と皆喜ぶのだろうか?もし仮に目の前に…違う違う!

「う~ん…?何か向かってくるよ?」

「なんだ、人か?」

「う~ん…見た感じ…緑色の…狼?」

「緑色の狼なんている訳ないだろう?!苔の生えた野生動物か何か…いや、そんな生物居ないわ!」

 あ、見えて来た…って本当に緑色の狼じゃねぇか?!どうなってんだ?!って言うか…なんで俺らに絡んでくるんだ?!いや、野生の本能か?

「1+1は?」

「おい?!木瓜?!今は算数している場合じゃねえ!」

「え?僕じゃないよ?この狼が言ったんじゃない?」

「は?狼が喋る訳…」

「1+1は?」

「狼が喋るんじゃねえ!!!」

「あ、分かった"1"だ!」

 なんで狼と木瓜が二人してこっちを見てくるんだよ?!あれか、ツッコみ待ちなのか?!おかしいだろ…もう…この状況がおかしい。うん、夢だそうに違いない…が!!!

「それ、偉人の伝説でしか聞いたことないだろうが!」

「正解…!」

「いや、間違ってるだろ?!」

「あ、行っちゃった…。」

 行っちゃったって何?!目の前から姿が消えたんだけど?!何、手品?種と仕掛けを教えてくれ?おかしなもんだな…。

「木瓜…狼に加担したな?!」

「そういうつもりじゃなかったんだけど、なんか体が勝手に…?」

「もし、そこのお方。」

「今取り込み中なんで…?!」

 振り返れば、今度は綺麗なお姉さんが空中に浮いてる…。もう、色々起きすぎて状況つかめないし、ツッコみも追いつかないし…諦めよう!そうだ、それがいい。

「貴方に力を授けます、どうかこの力でこの世界を救ってください。」

「いや…え?俺なの?木瓜じゃなくて?」

「はい、今この世界には"ボケ"が充満している状態です。」

「毒ガスか何かですか?」

「貴方のツッコみが必要です」

「あ、結構です。遠慮します。」

「隣の方からは、既に汚染された気配を感じるのです。」

「まぁ…常日ごろからボケているからじゃないですか?」

「でへへ、照れるね?」

「褒めてないんだが?!」

「貴方にはこの”正拳”を授けます。」

「うん、拳を前に出して、俺の事殴るって事かな?」

「ツッコみカリバーです」

「え、要らない!めっちゃ要らない!」

「この"剣"は貴方の事を救うでしょう」

「俺を救う前に、その力があるなら貴方が世界を救ってくれます?!」

「では、また会いましょう。」

「話全く聞かないね?!それで、これ要らないって言ったのに置いて行くなぁぁ!!」

 目の前に残った”棒”に”拳”が付いたこれは…。まさに正拳。剣じゃねえな、うん。

「それで皆を正気に戻すんだね?」

「まず、剣じゃねえ事に驚きだし、なんかのゲームのネタ武器にしか見えない。」

「じゃあ、シャリ探しに行く?」

「それじゃ寿司じゃねえか!」

 振りかざした”正拳”は木瓜の頭にヒット。小気味良いリズムを刻んで…ってこれじゃ木魚叩いてるじゃんね。俺までボケに浸食される前に、どうにかしようかな。あ、木瓜が浄化されて、綺麗になった。

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