第一章

家から4時間、新幹線の車内で東京駅に着くのを待つ。待っている時間にもそのトンネルについてを心霊スポットサイトで調べる。ただし、心霊スポットについての話の進展はない。そろそろ東京駅に着きそうだ。そういえば東京に来たのはいつぶりだろうか。千葉が目的地のため通り過ぎるだけだが、新幹線の窓から見えた景色があまりにも懐かしく並んでいる。だがいつもと違う気がするのは気のせいだろうか?「次は東京駅。東京駅です。」アナウンスが流れ、席を立ち上がり出口へ向かう。東京駅から心霊スポットまで約40分電車に揺られなくてはいけない。そう思いながらも新幹線を降りる。人が新幹線から雪崩落ちる中、僕は違和感に気づく。だがその違和感がなんなのか、それはわからない。視線を感じているのか、それともいつもより人が多いから来た勘違いなのか。だが僕はそんなことを気にしない。改札を抜け、在来線に乗り換え千葉駅へ向かう。電車を待っている時ふと気づく。新幹線で一緒に乗っていた女性が僕の後ろにいることに。だが新幹線から在来線に乗り換えるだけなので、ただの偶然だ。そう思った。在来線に乗り、入り口から一番近い椅子に腰をかけ、スマホをぼーっと眺める。すると

ある記事が目に入る。「千葉県 少女誘拐事件」嫌な事件が起きたもんだ。そう思いながらもそのサイトを開くと、誘拐されたであろう女の子の名前や年齢、身長や服装などがたくさん書かれている。ただ僕には無関係だと思い、サイトを閉じる。スマホから顔を上げ、向かい側に目を向ける。するとさっき女性が向かいの席に座り、こちらを睨んでいる。その女性はマスクをしていたが、口角が上がりニヤリと笑っていることがわかる。僕は背筋が凍ったように思えた。もう一回スマホを起動させ、スマホに顔を落とす。何分経っただろうか。そろそろ千葉駅に着くぐらいになっただろうか。やけに長い。あの女性に睨まれているからだろうか。時間が遅く感じる。「次は千葉駅です。」そうアナウンスが鳴り、心が安堵に包まれる。出口に向かうため、立ち上がると、あの女性も立ち上がる。僕は恐怖を覚えた。こんな偶然があるのだろうか。もしやストーカー?そんなことを思っているうちに千葉駅へと到着。そして改札を出て、西口へ向かう。トンネルまで車で約1時間ある。あらかじめ予約しておいたタクシーで鴨川市へ向かう。だが道中で奇妙なことが起きた。いわゆるルームミラーに映る運転手さんの顔がなぜか引き攣っているのだ。それもずっと後部座席を気にしているようだ。僕も気づかれないように後ろを向く。だが後部座席には俺以外には誰も乗っているわけもなく、不気味に思う。なぜかさっきの女性の顔が頭をよぎる。もしやまたついてきているのではないのか。そう考えてしまう。外は暗くなり始め、街に光が灯り始める。ここまで一言も喋ってなかった運転手が口を開く。タクシーというものは、お客様が退屈などしないように少しは話すと思うのだがなにかを呟いては黙り込み、何かをまた呟く。するといきなりタクシーは停車し、運転手が声を発する。「そろそろ到着します。」その声は震えていた。僕は震える声で運転手に話しかける。「なぜ声が震えているのですか?」すると運転手は黙り込み、前を向きながら僕の横の席を指さす。そこにはなにも見えないけれど。それ以上運転手は言葉を発しなかった。それから数分経ったころ、タクシーがまたゆっくり止まる。運転手がゆっくり口を開く。「一万五千円です。」少々高いが、無理もない。1時間以上の運転だ。財布からニ万円を取り出し、運転手に渡す。運転手は五千円札を僕に手渡した。僕はタクシーを降りると、タクシーは素早く走り去っていってしまった。まあそんなことは気にしない。ここからトンネルまで歩いて十五分だ。早速歩き始める。後ろには暗い暗い闇が広がっている。後ろを振り返ることはできなかった。後ろに何かが動いたとそう思った。


これはとあるホラー雑誌にまとめてあった文章を要約したものです。

「千葉県鴨川市にあるトンネルで不可解なことが連発⁉︎そこで起きた真実とは⁉︎」

以前紹介した佐賀県にある心霊スポットに続き、読者からの調べてほしいという要望があった鴨川市にある。とある心霊スポットについてを調べ上げました。そのトンネルでは、地震のせいで屋根が崩れ、折木沢方面の出口が土砂で埋まり、通行ができなくなってしまったという出来事がありました。でもなぜ心霊スポットになったのかと言いますと、赤い女の霊が見えることがあったり、入り口とは異なる場所いわゆる異世界にいってしまったという噂が広がり、ホラーサイトを中心に心霊スポットとして拡散されていきました。そこで今回出版社の職員数名でそのトンネルに行ってみたところ、霊もなく出口も見つからず引き返してきました。ですが数日後、トンネルに行った職員全員が高熱または下痢を訴え、一週間後には2人が自殺を、1人が自殺未遂をしました。もうこの場所には踏み入りたくないので、これ以上の深掘りはしませんがここは危険です。できる限りの接触をやめるよう推奨いたします。この記事は没になる予定でしたがどうしてもということなので出版しようと思います。ここに行きたいと思った人がいるでしょうか?それもこのトンネルの霊の呪いなのです。

関東心霊出版社 8月号 超怖心霊スポット⁉︎〜ランキング編〜     完


この出版社は9月下旬に突然無くなり、雑誌も打ち切りになったそうである。

注:本文の一部を変更、削除しています。

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