今代精霊王によるパーフェクト魔法教室

蠱毒 暦

1章 『精霊王』との邂逅

1話 最後通告

ザー……ザー………


「いいかね?これが最後だ。今回の依頼を終え次第、冒険者協会から除名処分とする。反論も受け付けない。早く失せろ…彼女達を廊下で待たせてるんだ。」


「は……はい。」


緊急で呼びされて突然、冒険者協会の代表の人からの最後通告を受けたわたしは、お辞儀をしてから、部屋を出た。


「…チッ。」


「あんなのが…」


廊下にずらりと並んだ若い女の子達全員に舌打ちされたり睨まれつつ、階段を降りる。


わたしがまだ10歳の頃。外から来た金槌の様な旅人さんから冒険者についての話を聞き、鉱山がある小さな名もない集落を飛び出した。


道具は粗悪な鉄で作ったツルハシと貴重な木を使った松明。食事は硬いパンと汚れた水だけ。


いつ落盤で圧死するか、或いは暗闇から現れる魔物に殺されるか分からない状況に怯えながら鉱石採掘をしていたわたしにとって…それは宝石箱みたいでキラキラしていて夢と浪漫が溢れていたから。


そして、幼いながらわたしは旅人の人から冒険者が厳しいと事前に聞いて知っていながら…厳しい現実に直面し、改めて酷く痛感した。


『冒険者っていうのは、一度は誰もが憧れを持つ職業だけどさ。大半はその夢を捨てて、安定した仕事に就くんだよ』って。


あれから、20年…旅人さんは元気にしてるかなぁ。


「ご苦労様です。こちら、今回の依頼の報酬になります。」


「ねえクロくん…今日こそ、仕事終わったら、お姉さん達と遊ぼうよ〜」


「うんうん…好きなものたっくさん、食べていいんだよっ、どう?」


「結構です。?フゥさ…」


「あんなの気にしなくていいじゃん!いいじゃん!それよりも、クロくん〜♪♪」


「……っ。そろそろ退いて頂けると。列が出来てしまっているので…」


「「「えーー???」」」


これ1本で生計を立てられるのは、とんでもない才能と能力と幸運のあるほんの一握りのパーティだけ。単独行動なんてもっての他。


パーティに入れて欲しいって何度も根気強く声をかけたけれど、今までずっと鉱山で採掘しかして来なくて常識も知らず、最年少だからっていうのもあって全部ダメ。絵本で言うところの異世界に迷い込んだようだった。


「オークの軍勢討伐!皆、お疲れ〜♪」


「「「「かんぱーーい!!!」」」」


「ぷはぁ…なあ、若いの。報酬は山分けで本当に良かったのか?殆ど、お前とその仲間の機転のお陰なのに…」


「こっちはこっちで、勝手に君達の戦場に乱入しちゃった訳だしね。外でやまねちゃんを待たせてるから、それじゃあね♪」


収穫があったとしたら、人間領側にある殆どのダンジョンは、あらかた探索されきっていて、隠し部屋は勿論、ポーション1つすらもう残っていないらしいこと。


「ヒック…なぁなぁ。大体20年前に、魔王が殺されたって本当かよぉ?」


「チッ…それってデマ情報だろ?魔物や魔族の統率が鈍くなったのもあくまで、一時的にだったし。最近は、境界線に落ちて来た隕石騒動でむしろ活発化してる。」


「あはっ。確かに…あっ。」


仮に無限に湧いてくる魔物と戦って、地道に自分を磨いていても、弱い魔物の素材はすっごく安いし、命の危険に晒されるだけで、得られる経験値も、ものすっごく少ないから人間領と魔族領の境界線が破れたとある場所で、戦っているらしいことだけだった。


「あの人…まだいたんだ。」


「20年間いて、まだレベル1らしいぜ?」


「えっ嘘ぉ!?」


「協会の人に聞いたけど職業は魔導士で、魔族はおろか…魔物すら一度も討伐してないんだと。」


「ほんと夢見過ぎ♪才能ないなら、さっさと定職につけばいいのに。」


道中そんな話を聞きつつ、クトルの町の中央部にある冒険者協会の建物を出て、誰かとぶつかり何度も謝罪してから、急いでその場を後にした。













































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