3話 初依頼
20年間…魔物と戦う機会を与えられず、ボッチでレベル1の魔導士のわたし。
とうとう他の集められた冒険者の方と一緒に依頼を行います……!
目的地まで3日間ほど、馬車に揺られている時も正直、緊張で全く眠れずに今にも…倒れそうです。
でももし、ここでいい姿を見せたら、除名処分はまのがれるかもしれません。
失敗…出来ませんね。
「はぁっ!」
ザクッ…!!ザクッ……!!!
「…くっ。やりますね。」
隕石と聞いていましたけど…思っていた以上に硬い。わたしのツルハシ捌きで倒れないとは、中々の難敵です。
え。何をしてるか…ですか?そんなの、採掘に決まってます。
これは、そう。適材適所なのです。
考えてて悲しくなりますけど、私は魔法を1つも使えません。依頼とはいえ集落や鉱山以外でもこんな事してるなんて…でもわたしが、誰かの役に立ててるなら……!
ふと「調子はどうだ?」と声がして、首に回していたタオルで汗と土汚れを拭く。
「もう少しです。」
「ここは人間領と魔族領との境界線だが、隕石の影響で【決まり】が意味を成さない…もし、勘づかれてしまったら終わりだからな。」
「は、はい。」
振り上げたツルハシを、また大きな隕石に叩きつける。
「そいやぁ!!」
カツーン…!!カツーン……!!!
「掛け声とかいらねえよ。魔物が来たらどうすんだよ…ったく。」
「やばい、やばい!?ケンタウロスがこっち来てる…見張り全員やられたぞ!!!」
「な、ぁ…」
「てぇい!!!」
ザクッ…!!ザクッ……!!!
外堀は埋めました…ほれほれ、反撃タイムですよ〜無傷なまま、取り出しちゃいますからね〜どれくらいで売れるかなぁ。
「来…ぶえっ」
「カイト!?く、クソがぁぁぁ!!!!」
ガシャボキメキバキメキィ——!!!!!
「……フン。これで最後か。呆気ない…おいそこの女……」
「ふぉぉぉ!!炭鉱夫魂ぃ————!!!!」
報酬はきっと山分けだろうから…せめて、 2週間くらいの生活費になればいいなぁ。あわよくば…除名処分も回避で。
「くっ…トドメ、だぁぁぁ!!!!」
ザクッ…!!!!ボロッ…ボロボロッ…
「中に赤色の宝石…や、やった!やりまし…」
ツルハシを地面に置いて、重要そうな宝石を手に持って後ろを振り返ると、さっきまで話していた冒険者の人達の残骸と…それをしたであろう、大型の牛の形をした魔族。
熟練の冒険者パーティですら、全滅する危険があるとされてる…ケンタウロスが血肉で汚れた無骨な石斧を抱えて立っていて瞬間、察した。
あっ……わたしも、ああなるんだ。誰なのかも分からないくらいに、ぐちゃぐちゃにされるだって。
「最期に掘れて良かったな。屍を晒し、魔神様の贄となれ。」
魔物町に住んでるドワーフやエルフも同じ魔族だけど…会話で解決出来る気がしなかった。溢れ出ている殺意といい、常軌を逸している。
「ひ、うぐっ…」
「泣いた所で…無意味だぞ、小娘。」
わたしを殺すのは造作もない事なのに、持ってた宝石を指差し、何故か狼狽え始めた。
「ま、まさか…それ、は…これが、お前達の目的なのか!?だとしたら……」
「あ…わ、わたしはただ依頼で、隕石を掘れって言われただけで…目的とかは特に…これ、欲しければあげますから、その、傲慢かもしれませんけど…い、命だけはっ。」
まだ…親方さんに、お返事も出来てないですし…何とか、何とかしないと。でも…逃げられないし……
ビキッ…ビキビキィ!!!
「っ…なんて、事を……ぁ?」
「え。」
特になにもしてないのに、宝石にヒビが入った瞬間…宝石から光が漏れ出し、夜空を朝焼けへと塗り替えていく。
「あ…ぁえ?」
ピンク髪のツインテール。わたしと違って…ちゃんとした黒色の魔女服と黄色いリボンが巻かれた魔女帽子を被った12、3歳の人ではない少女が、目にも止まらない速度で、わたしに振り下ろされた石斧を片手で掴んでいることに、やっとわたしの思考が追いつき、腰を抜かしてしまった。
「は、離れぬ…我の力をもってしても…いや…ち、違う…っ…だ、ろ。俺は」
「呆れた…脳みそまで脳筋だなんて。魔法は日々、研鑽され枝分かれして進化、発展していくものよ。はい、これ魔法使いのキックね。」
石斧がバキンと割れる音と共に、ケンタウロスさんの上顎を蹴り上げられて数秒間、宙を舞った後…衝撃と共に、仰向けで地面に沈む。
「
「どう?物理攻撃力上昇魔法に、増幅魔法、限定強化魔法を加えた私のキックの味は…って。この程度で気絶するなんて情けないわね。」
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