四月二十二日(金)
「もし僕が何も聞かなかったら、何も言わずに消えていた?」
バイトに行く前の時間、ギターを弾きながら僕は唯香にそう尋ねた。
「多分ね」
彼女はあっさりとそう答えた。
「あの世に逝く前に何かしたいことってないの?」
「うーん」
唯香は腕を組み目線を左上にやって考えた後、
「こうやって雄太といられたらいいよ」と言った。
その言葉は嬉しかったが、何かをしてあげたいと気持ちが僕にはあった。そうやって答える唯香の身体が、心なしか小さくなった気がする。彼女にあった生気が確実に小さくなっているようだった。
「歌を歌わない?」と僕は聞いた。
「歌?」
「そう、歌。それが夢だったんでしょ?」
「それはそうだけど」
「曲を作ろうよ。二人で」
「出来ないよ。作ったことないし」
その後、僕がバイトに向かうまで僕達の間に会話は無かった。唯香は枕の上で横たわったまま動かなかった。背中を向けているので起きているのか眠っているのか分からなかった。
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