男子校、パンツ、猫。以上、事件です。

越山あきよし

第1話 俺のパンツがねぇ!

「俺のパンツがねぇ!」


 俺は絶叫した。


 四時限目の体育の授業を終え、教室で着替えている最中の出来事だ。


 早めに切り上げているとはいえ、早くしないと昼休みが削れてしまう。


「俺君はバカだな。今、穿いてるだろ?」


 相棒が言われるも、俺は否定する。


「ちげぇよ。今、穿いてるパンツじゃねぇよ!」


「じゃあなんだよ」


「俺が観賞用に持ってきた女子のパンツだよ!」


「な……なんだって⁉ 女子のパンツって……おまえ……ついに超えてはいけない一線を越えてしまったんだな」


 相棒は呆れているようだ。


 腕を顔に当て、泣きまねをしている。


「いくら男子校で女に飢えてるからって」


 相棒は俺の肩に手を置きながらふざけ半分という感じに言う。


「どこで盗んだんだ。薄情しろ。大丈夫だ。……お前ならいつかやると思ったと取材で答えてやる」


「俺が女子のパンツを盗んだ前提で話を進めるな!」


「は? 違うのか?」


「違うわ!」


「まさか……母親の……そこまで落ちていたとは……」


「ちっがう!」


 俺は校内中に響く程の大声で絶叫してから弁明する。


「俺が自分で買ったんだよ」


「勇者だ。勇者がいる。女子のパンツを自分で? いったいどこで……」


 相棒は俺から距離を取り、引いてる素振りを見せる。


「っへ! よくあるだろ?」


 クラスにいるみんなが注目する中、俺は言った。


「ガチャだよ。女子の脱ぎたてを謳った良い匂いがする」


「十八禁コーナーにあるやつか。だが、お前、十八歳に……」


「この前、なったんだよ。その記念に買ったんだ」


「なに記念に買っといて失くしてんだよ」


「うるせい!」


「まぁ俺ら高校三年だしな。そういうのを堂々と買えるようになって舞い上がるのはわかる」


 相棒は頷きながら肯定的な言葉を述べた。


「だがな。なんで買うのがパンツなんだよ。下着屋行けよ」


「っは! 行けるわけねぇだろ。おまえが行けよ」


「行くわきゃねぇだろ」


「それより俺の女子のパンツだよ。どこ行ったんだ?」


 俺は女子のパンツが入っていたはずのジッパー付きのビニール袋を握りしめながら思考を巡らせるも、思い当たる節がない。


「絶対、見つけ出してやる!」


「記念、か……」


「なんだよ?」


「俺も手伝うぞ」


「おお! 相棒も一緒に探してくれるのか」


「ああ」


「あんがとよ」


 こうして俺らは男子校の校内で女子のパンツを探すことになる。


「とりあえず、おまえはズボン穿け」


「乾かしてんだよ。野郎しかいねぇんだからいいだろ、別に」


「いいわけあるか!」

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