第はち話 パンク修理

(爽やかな朝の小鳥の声)ピ、ピピ、ピピピピ


莉奈りな

【みんな集まっているね。

もうすぐ集合時間、7時45分。

あたしが最後かな、と思ったら、かすみちゃんがまだか。】


【昨日、打ち合わせを欠席した孝太郎こうたろうくんは、

武佐士むさしくんからレクチャーを受けている。

あ!自転車にスマホが装着してある。

やったネ!】


莉奈りな

「おはよー!」


一同

「おはよー!!!!」


莉奈りな

かすみちゃん以外の5人は、

小学1年生の時から一緒で、

この公園で遊ぶ仲間なんだよネ。】


莉奈りな

かすみちゃんは、6年から転校してきて、

まだ1年しか経っていないのに、

もうすっかり仲良しなんだ。

コミュりょく、強いよネ。】


武佐士むさし

莉奈りなちゃん、おはよう!」


莉奈りな

「おはよう!武佐士むさしくん!、、、?」

【あれ、なんで、あたしを渋い顔で見るの?】


武佐士むさし

莉奈りなちゃん、ちゃんと言わなかった俺が悪いんだけど、、、。」


莉奈りな

【え!何のこと!?】


武佐士むさし

「自転車にスカートは、マズいよ。」


莉奈りな

「あ!そう言うこと!」


武佐士むさし

「うん、スカートは、ちょっと、、、。」


莉奈りな

「これは大丈夫よ。」


武佐士むさし

「えぇえぇぇぇ、だって、そんな短いの、見えちゃったり、とか。」


莉奈りな

「大丈夫、これはスカートに見えるけど、ショートパンツだから。

キュロットって、言うの。」


莉奈りな

【ちょっと、めくって股間を見せたよ。】


莉奈りな

「ほら、大丈夫でしょ。」


莉奈りな

【、、、あれ、しまった!

急いで戻したけど、ちょっとハズいよ。これ。】


武佐士むさし

「そうか、それなら大丈夫。」


莉奈りな

武佐士むさしくんってば、下を向いたまま、行っちゃったよ。】

【ちょっと、かわいいネ。】








萌音もね

かすみちゃん、遅いね。」


莉奈りな

【心配顔の萌音もねちゃんは、守ってあげたくなるキャラだ。】


莉奈りな

かすみちゃんは一番乗りのキャラなのにネ。」


莉奈りな

【何かあったのかな。】






孝太郎こうたろう

「あ、あれかすみさんじゃない?」


莉奈りな

【あっ、あの人影はかすみちゃんだ。

あれ、自転車を押しているよ?】


雷人らいと

「おーーい!かすみぃ!なに歩いているんだよぉ!」


かすみ

「ごぉめぇぇぇん、遅くなった。」


かすみ

「今、来る途中で、タイヤがペコポコ言い始めて。」

「パンクなのかな?武佐士むさし!何とかして!」


莉奈りな

武佐士むさしくん、苦笑いしてるけど、笑い事じゃないよ。】


武佐士むさし

「貸して、見てみるね。」


(自転車のチェーンが跳ねる音)カチャチャン


莉奈りな

「す!ごい!あっという間に車輪が外れた。」


かすみ

「クロスバイクは、こうなっているのよ。」


莉奈りな

【なんで、かすみちゃんがドヤ顔なの。

すごいのは武佐士むさしくんなのに。】


武佐士むさし

「スポーツバイクは、簡単にホイールが外せるんだよ。

ホイールが簡単に外せれば、

タイヤやチューブの交換も簡単にできるから。」

「出先でトラブっても安心だよ。」


莉奈りな

【へぇ、そうなんだ。】


武佐士むさし

「パンクって、どんなに慎重に走っても、

事前の整備が完璧でも、する時はするんだよね。

ガラスの破片とか、避けきれないこともあるから。」


武佐士むさし

「、、、でもね、今回の原因は他にあるみたい。」

「最近、タイヤ交換したよね?」


かすみ

「そ、そう、昨日交換した。」


武佐士むさし

「どこの自転車屋さんで?」


かすみ

「、、、うちのおとうさん。」


武佐士むさし

「お父さんは、普段から自転車いじっているの?」


かすみ

「ううん、初めて、だ、、、と思う。」


武佐士むさし

「そうか、納得。」


かすみ

「えっ、何が納得?どう言うこと?」


武佐士むさし

「パンクの原因は、チューブの噛み込みかな。」

「ちょっと、言い方キツイけど、ゴメンね。

おとうさん、下手くそ。作業の失敗だね。」


かすみ

「ひどいね、武佐士むさし

タイヤが擦り減っていたから、

昨日の夜、心配しておとうさんがしてくれたのよ。」


武佐士むさし

「チューブはもうダメだから、俺のスペアを使うよ。」


かすみ

「おとうさんが、古いタイヤは心配だから、って、

交換してくれたのよ。」

「AIでやり方調べて、夜遅くまで、作業してくれたのよ。」


武佐士むさし

「『タイヤは命を乗せている』、、、知ってる?」


かすみ

「大袈裟ね。」


武佐士むさし

「大袈裟じゃないよ。

車とぶつかりそうになって、急ブレーキかけた時に、

タイヤが外れたらどうなると思う!?」

「ブレーキが効かなくなって、車に突っ込んじゃうよ。」


莉奈りな

【なんか、空気が重い。

武佐士むさしくんの作業を見ながら、みんな黙っちゃったよ。】


武佐士むさし

「自転車だからって、舐めてかかると痛い目に遭うよ。」

「中途半端な作業は、最悪、事故につながるよ。」

「経験や知識は、ネットやAIだけではカバーできないこともあるよ。」

「俺も、無理なところはプロにお願いしているんだ。」


武佐士むさし

「はい、出来上がり。」


一同

「わぁぁ。」


武佐士むさし

「チューブは交換したから問題なし。

ただ、タイヤは予備がないから再使用するけど、

見た目は新品でも、少し傷みもあるから、

途中で異常があったら、すぐに教えてね。」


かすみ

「、、、あ、ありがとう。」

「おとうさんには、よく言っておくわ。」


武佐士むさし

「キツイ言い方しないでね。」


かすみ

「それは武佐士むさしでしょ!」

「、、、もう。プンプンだよ!」


莉奈りな

【よかった、かすみちゃんに笑顔が出た。】

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