第2回 更地のポスト
友達から聞いた話なんですが、その友達…Aくんは建物を解体する所を見るのが好きらしくて解体の気配、本人がそう呼んでるんですけど建物の周りにロープが貼られたり瓦礫が飛び散るのを防ぐ為の幕を張る為の用意が始まるとそこの前を必ず通るように通勤経路を変えるそうです。
変な趣味ですよね…なんでもガン見するのは世間体が悪いからとかなんとか…。
それで、その日も解体が始まった建物を眺めながら通勤してた時に手作りのポストがあるのに気が付いたみたいで。多分その敷地内に置かれた看板から察するにその家の人が作ったんだろうなとわかる手作りポストで。重機でバキバキに壊されて行く家の少し前にそのポストだけが立ってるのがなんだか不思議で面白くて思わず見入っちゃったんですって。そのポストを壊さない理由は恐らく住所変更が間に合ってないから郵便物を受け取る為なんだろうな〜なんて考察したりなんかして。
それで何日か経って完全にそこが更地になって幕もロープも撤去されて重機も撤退して行って、そのポストだけがポツンと残されまして。
Aくんはもしかして駐車場とか再利用するのかと思ってたんですけど、何か建つ気配もなければポストに郵便物が入ってるようにも見えなかった。
それでAくん痺れを切らしてポストを直近で見てやろうって…それでようやく偽物だと気づいたんです。
見た目は完全に木で出来たポストなんですけど投函口のところが少し彫って黒く塗ってあるだけで何も入れれないようになってました。
そのポスト、まだあるみたいで今度はそのポストがどうなるかを観察してるみたいです。何の為に偽物のポストをずっと更地に置いてるのか気になるみたいで。
まあこれだけの話なんですけど、もしも続報があればまたお知らせしますね。
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