ラプンツェルはむしっても、むしっても生えてくる。だから食べてもらって構わなかったのだが……。

まるちーるだ

プロローグ

むかし、むかし、農民の夫婦がいました。

二人には長年子供がなかったが、ある時やっと子供を授かりました。

妊娠中の妻は近くに住む魔女の畑で育っているラプンツェルが食べたくてたまらなくなります。妊娠中で食べられるものが少ない妻の為に、夫はこっそりと魔女の畑に忍び込み、ラプンツェルを盗りました。

しかし、運悪く魔女に見つかってしまうのです。


その魔女は『生まれてくる子供を渡すならば、ラプンツェルを好きなだけやろう。』と言ってくるのです。

夫はそのことを言い出せずに妻にラプンツェルを食べさせました。

そして、妻が健康な女の子を生むと同時に、魔女は女の子を夫婦から取り上げて、階段も何もない塔に閉じ込めてしまいます。魔女はその女の子にラプンツェルと名付けました。

成長したラプンツェルは美しい髪を塔から降ろして、魔女を迎え入れます。魔女はそのラプンツェルの髪で塔に上るのです。


ある日、美しい歌声に導かれて、王子様がラプンツェルの姿を見つけます。なぜあの美しい人が塔に?そんな疑問を持ちながら王子様は眺めておりました。


その美しい人と目が合った瞬間、胸が高鳴りました。


王子様はこっそりと観察して、あの美しい人が垂らした髪で塔に上がるのだと分かりました。王子様は魔女の真似をして塔に上がります。

塔の中で待っていたのは今まで見たことのないほど美しい女性でした。


王子様は外の事をしきりに女性に伝えます。

ラプンツェルもその話を興味津々で聞くのです。二人は何度もそんな会話を繰り返すうちに仲良くなっていきます。

その密会を見てしまった魔女は激怒します。


『ここまで育ててやった恩も忘れてなんと浅ましい。』


魔女は怒り、そしてラプンツェルの髪を切り落とし、森に放置しました。

何も知らない王子様はいつものようにラプンツェルの髪を伝って塔へと登ります。

しかし、塔の上に居たのは魔女でした。

魔女は王子様を突き落とし、王子様は目に傷を負ってしまいます。


時は流れて目に光を失った王子様は失意の中に居ました。

そんなときに聞こえてきたのです。美しい歌声が。その歌声を頼りに王子様は歩きます。

たどり着いた先には懐かしい声。

反対にラプンツェルは驚きました。王子様は目を失っていたのです。

その事実にラプンツェルは嘆き、涙を流します。どういうわけか、その涙が王子様の目に当たると王子様は眩しさを感じます。

そしてしばらくすると、王子様はラプンツェルの姿を見ることが出来ました。

王子様の家臣たちはその奇跡を目の当たりにして、ラプンツェルを歓迎しました。

そして二人は末永くお幸せに暮らしましたとさ。


めでたし、めでたし。


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