継母ですが、娘には毒りんごよりも美味しいアップルパイを食べさせたい!

まるちーるだ

プロローグ

昔々、あるところに、子どもを切に望む王と王妃がおりました。

祈りは天に届き、やがて王妃は一人の姫を授かります。


姫は雪のように白い肌を持ち、妖精と見紛うほどの美しさを宿していました。

名は――白雪姫。


しかし、その誕生と引き換えに王妃は命を落としてしまいます。


深い悲しみに沈んだ王はやがて新たな妃を迎えました。

彼女は怪しくも妖しい美貌を持ち、夜ごと魔法の鏡に問いかけます。


『鏡よ、鏡。世界でいちばん美しいのは誰?』


『それは王妃様でございます。』


そう答える鏡の言葉に、王妃は満足していました。

けれども白雪姫が成長し、その美しさが国中を魅了するようになると――。


再び問いかけた王妃は、鏡から別の答えを聞かされます。

『それは王妃様でございます。……ですが、白雪姫の方がさらに美しい。』


その瞬間、王妃は嫉妬と怒りに我を忘れ、狩人に白雪姫を殺すよう命じました。

けれど狩人は任務を果たせず、白雪姫は森の小人たちの家に逃げ込みます。


王妃は何度も策を弄して白雪姫を狙いますが、そのたびに失敗。

ついには自らの手で決着をつけようと、毒りんごを仕込みました。


言葉巧みに白雪姫へと差し出し――ついに姫は倒れ、動かなくなったのです。


勝ち誇った王妃は再び鏡に問いかけます。


『鏡よ、鏡。世界でいちばん美しいのは誰?』


『それは王妃様でございます。』


ついに自分が一番の座を得た――王妃はそう思いました。


ところが、隣国から届いた結婚式の知らせ。

赴いた先で王妃は目を疑います。

花嫁の座にあったのは、死んだはずの白雪姫だったのです。


彼女の前に置かれたのは、真っ赤に焼けた鉄の靴。

王妃はそれを無理やり履かされ、炎のような痛みに身をよじらせながら踊り続け――

やがて命尽き、倒れ伏したのでした。

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