幼馴染と付き合えたのにフラれる寸前です

別れない‼︎

　湯音からのいきなりのヤバい発言をくらい、大打撃を受けました。

「あ、オレ…ヤバいよね。ねー…ごめんなさいねー。」

　と、静かにドアをしめた。

　フラれるの時間の問題やんけ‼︎

　慌てて退散したよね。

　そしたら、湯音が部屋から出てきた。

　…

　ヤバい…

　追いかけてきてまで、オレをフルつもりなのですね？

　そんなにオレがキライかよ⁉︎

　だろうね。

　そりゃ、あんなことやこんなこと見られてんだもん…キライ通り越して嫌いになって、キモいに足を踏み入れたよね…。

　でも…オレ結構頑張ってイメチェンしたよ？

　それでもオレをフルの？

　フルスイング‼︎

　やめて？

　そんなこと…おやめよ…

　オレに向かってくる湯音をオレは、逆に仕留めてやった。

「湯音、一週間ほったらかしてごめん。今度お礼にデートしよう」

　と、壁に湯音を貼りつけて。

　貼りつけるってのは、ちょっと語弊がうまれますね。

　うまれていいのは、愛だけ。

　オレは、湯音から返事が来る前に春巻きにしてやった。

　必殺‼︎春巻き愛‼︎

　どうしたって？

　そりゃ、抱きしめたんですよ。

　湯音を、オレの愛で包み込んだ。

　春巻きのように、隙間なくギュ〜♡って。

　別れない。

　オレは絶対別れない‼︎

　なんなら、春巻きって揚げるとなおさら剥がれないでしょ？

　オレは、すでにカリカリにヤキモチ妬いてるから、サクサク焼きみたいになってんだよ。

　アキってやつが、湯音の心に入り込もうとしてるからよ‼︎

　入らせねー。

　隙間を許してはならない‼︎

　湯音は、オレに抱きしめられたまま、

「うん。デートしよ」

　ってこたえてくれた。

　これは、早く春巻きから解放されたいのか…それともただデートしたいのか…

　んなわけないか…

　だって、オレだもんな…

　でも、オレ最近モテるんよ？

　これって…もしかして、だれかがオレに自信をつけてくれるように、ウソ告してくれているの？

　オレのモチベを、だれかが陰であげてくれているの？

　略してモチ揚げ？

　美味しそう。

　かりかりしてて。

　少し塩と海苔をパラパラふりかけて…ってさ、違う‼︎

　そうじゃないんだよ…

　でも、デート断られなくてよかった。

「ありがとう。湯音」

「ううん、こちらこそ…てか、もう離してもらえると…」

　湯音をみると、湯音は顔が赤かった。

　春巻きの技が効きすぎたかな？

「あの…オレきつく抱きしめすぎたね。わりぃ」

　解放要求されたっぽい…

　てか、されたよね…

　ベコって心がへこんだッス…

　湯音は、上げて落とすタイプなん？

　…

　落ち込んでへこんでいると…

「そんなこと…それよりデートで歌ってよ。バンズ。なんかさ、最近すっごくバンズに似てて…かっ…かっ…かっこ…かっこいいし髪型も似合ってて、この前の服装もめっちゃドキュンで、もう…息がもたないよ…」

　って、オレの服の袖をにぎにぎしてきた。

　えっ⁉︎

　かっ…かっ…

「かわよ。湯音かわいすぎんだろ」

　オレは、思わずまた湯音を春巻きの刑にしてやった。

　何度も可愛すぎる罪に問われる湯音。

　かわいすぎるから、もう離したくないな。

　てか、デート断られなくてよかった…

　そもそもフラれなくてよかったー‼︎

　これでハッピーエンドでしょ。

　ね？

　ねぇ？

　ですよね？

　うんうん、そうだよ！

　きっと…

　…

　無事デートの約束をして、家に帰ったけど…

　ところで、洋服何着て行こうかな？

　今までは、ラフな格好だったんだよね。

　パーカーとか、トレーナーとかさ。

　でも、デートじゃん？

　やっぱりアレだよね…

　普通に決め込んだら、張り切りすぎって思われて、またヤバって言われてしまうんじゃ…

　とはいえ、今まで通りの服装でいったら

（今までと変わんないね。やっぱり幼馴染に戻ろ。ドキドキしない。この前は、ドキドキしたけど、アレはただの心臓発作）

　とか言われたり…して？

　…

　ゔーん…

　これは迷うな。

　森で迷ったら、まず方位磁針を取りだして方向確認だよね？

　なら、オレも方向確認を…したところで…どうなん⁉︎

　オレはどこに進むんだよ⁉︎

　…

　あー…悩むなー…

　この際雨降らねーかな？

　そしたら、カッパで身を包んで…

　ってさ、そもそもデートでカッパなんか着ないんよね…。

　もうさ、無難に今まで通りの服で行こうかな…？

　無難すぎて終わるか、張り切り過ぎて引かれるか…

　もう、これは賭けです‼︎

　続く。