9話 呪いの正体

ノエル、晴魚が友達になってから数日後のことだった。雷魚はフマスト先生から呼び出しをくらった。


「何の呪いか分かったのかな?」


ノエルが言った。ノエルも晴魚も4人がいろいろと思い出話をしてくれたおかげでいろいろと知っている。


「そうかも、行ってみよう。」


雷魚がいってフマスト先生の部屋に行った。


「失礼します。」


「ああ、雷魚か。呼び出してすまんな。」


「呪いについてですか?」


「ああ、そうだ。あの呪いの正体は…………分からん。」


ドテッ!


フマスト先生以外の全員がずっこけた。


「だがな、悪なるものであるのは確かだ。」


「悪なるもの…………」


雷魚は静かに言った。するとフマスト先生は本棚から分厚く、古い本を持ってきた。表紙には「古代魔王記録書」と書かれている。


「それは?」


雷魚が興味深々に本を見つめて言った。


「これは、世界の真ん中にある城下町の『エルケーニ城下町』の空き家から見つかった100年前に書かれたと思われる伝説の書物。『秘伝書』だ。」


「そんな大切なものを任されたんですね。」


「ああ、そして気になるところがあるのだ。」


と言ってペラペラページめくり始めた。


「ここだ。ここを読んでみろ。」


そのページにはこんなことが記されてあった。




「呪い。それが最初に誕生したのは200年前。200年前魔王の子供を『ゲッテルデンメルング』という集団が奪い取った。魔王を継ぐものを消したゲッテルデンメルングは全ての者から愛されている。魔王の子供はゲッテルデンメルングの魔法のいけにえにされた。魔王の子供は死んだのだ。だが、魔王の子供が死んだ次の日から毎夜毎夜ゲッテルデンメルングに体調不良を訴えるものが続出した。体のしびれ、体の操作不能、めまい、幻覚、幻聴、症状は様々。ある研究部がそれを『呪い』となずけ、その研究部たちだけ魔法として呪いを使えるようになった。これを読んでいるものの中にも呪いを使えるものがいるかもしれない。その者たちは研究部と血がつながっているとみて間違いない。だがその者たちは決して呪いを悪用しないよう祈る。」




「この部分だけだ。呪いについて記されているのは。呪いは自然にかかるものではない。つまり、雷魚。君は何者かによって呪いをかけられたのだ。」


フマスト先生は言った。


「何者かによってって…だれだ?小魚?」


「いやいや違うにきまってるでしょ。」


小魚は落ち着いていった。見た感じ違いそうだ。


「じゃあ、宝魚?」


「ちがうよー。あー、先生でも解けないくらい強大な呪いなんか魔力が大量にある人にしかつかえないんじゃない?」


「あー、たしかに。…………じゃあ、まさか師匠!?」


雷魚は青ざめた。


「そんなわけないでしょ!」


小魚は言った。


「でも一応確認したほうが…」


晴魚は静かに言った。


「うーん、たしかに、放課後師匠に会いに行ってみる?ってそんな軽いもんじゃないか。遠いからなぁ。師匠の家。」


「じゃあ、私が車で連れて行ってやろう。」


フマスト先生が言った。


「ほんとですか?ありがとうございます!」


雷魚はお礼を言って部屋を出ながら言った。


「じゃあ、放課後。よろしくお願いします。」


「ああ。」


そして一行は部屋を出た。そして放課後…………


「あ!フマスト先生!」


「のれ、いくぞ」


小魚と雷魚はフマスト先生に道を教えながら師匠の家に向かった。


「ここが師匠の家です!」


小魚は張り切っていった。


雷魚はコンッコンッとドアをたたいていった


「おーい?師匠?帰ってきたよー」


そういった瞬間ドアがすごい勢いであいた。そして師匠は一行の顔を見つめながら言った。


「おお!お帰り!小魚!宝魚!と…………だ…れ?」


「あ、私は晴魚です。」


「私ノエルです」


「魔法学校教師のフマストです。」


「みんなよろしく。ってあれ?雷魚は?」


師匠はキョロキョロしている。師匠以外の全員はドアの横を見つめていた。そこに視線をやると…雷魚が情けないポーズで倒れていた。


「雷魚?どうしたんだ!?」


「師匠のドアで吹っ飛んだむし。」


「あー、なるほど、ごめんごめん雷魚…………ってだれ!?いもむし!?喋ってる!?」


「師匠、ムッシーっていってねベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラ」


「へー、あ、中に入ろうか。」


そして一行は家に入った。


「っていうか思ったむしけど、小魚が僕について説明した後みんな反応薄くない?ふーんとか、へーとかですませてるむし。なんかくやしいむし!ぼくは神むしよ!」


し~~~~~~~~~ん…………………………………。


「誰に向かってしゃべってんの?ムッシー。」


宝魚はあきれたように言った。


そして師匠はいった。


「あ、そうそう、自己紹介がおくれたね。俺は『シェイ』。よろしくね」


「シェ、シェイさん!?」


フマスト先生は興奮気味にいった。


「フマスト先生なんでそんなに驚いてるの??」


雷魚はいった。


「親子関係でありながらしらないのか?シェイさんは、『聖魔軍』という集団の5番目!『5軍王ファイブアルメーニ』だぞ!」


「えええええええええええええ!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?」


フマスト先生と師匠以外の全員は椅子から飛び上がるほど驚いた。


「聖魔軍ってあの世界的に有名で最強と言われている集団でしょ!?」


「ああ」


「師匠!?」


中でも雷魚と小魚が一番驚いている。


「あっはっはっはは。ごめん。夏休みに帰ってきたときに言おうと思ってたんだけど…………」


「なんでいままでおしえてくれなかったの?」


「いや…言おうと思ってたんだけど…………勇気がね…」


「親子なのにそんな怖がる必要ないと思いますが…」


フマスト先生が言ったところに宝魚がつっこんだ。


「いや、雷魚と小魚は拾われたんですよ。で、いろんなこと教えてくれるから師匠っていってるんです。」


「そうなのか…」


そんな話をしている間にもシェイは興味深々の5人からいろいろと質問されていた。


「ねぇ、師匠!聖魔軍ってどんな感じなの?」


「聖魔軍ってなにするの?」


「聖魔軍で1番強いやつはだれむしか?」


「聖魔軍って大変?」


「聖魔軍って何人いるの?」


などなど…大変そうに応えるシェイであった。


そして質問がおさまったころ、


「あ!ここに来た理由忘れてた!」


雷魚が言った。


「やっと気づいたか…」


フマスト先生がため息まじりに言った。


「ねぇ、師匠俺って呪いにかかってるんだけど…なんか知ってる?」


「呪い!?なにもしらないけど。大丈夫なのか?」


「うん、今のところね。それでねベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラってことがあって…ベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラってことがあったんだよ」


「なるほどな…もしかしたら予知夢をみる呪いとか?」


「それは知らないけど…俺ってどんな感じで拾われたのか知りたくて。」


「ああ、話してなかったな。分かった話そう。」






ある日、シェイはいつものように散歩をしていた。


「いやあ、やっぱり草原の散歩は楽しいなぁ。」


テクテク歩いていたが遠くに見たことのないほど大きな大きな大樹があった。


「うわぁ、でっかぁー」


シェイは近くで見たくて大樹のほうに走っていった。


「近くで見るとますますでけぇー」


ずっと大樹を見上げていたシェイだがふと根元を見ると、なんと黄髪のちいさな男の子が倒れている!


「!?」


シェイはその男の子を揺さぶりながら言った。


「大丈夫!?」


「う…うぅ」


男の子は目を開けた。


「こ…ここは?」


「きみどこから来たの?名前は?」


「どこから来たか?…………わからない…………名前…………雷魚?…………」


「雷魚?親はどうしたの?」


「死んだ…………」


「…………」


シェイは周りをきょろきょろした。なにもない。誰もいない。


「しかたない、とりあえず家に帰ろう。」


そして雷魚はシェイの家で過ごすことになった。もちろんそれだけではない。シェイは「親探しています。」のポスターを町中にはった。宝魚にもきいた。だが1年たっても誰も来なかった。


「雷魚が家に来て1年か……………なぁ、雷魚。」


「なに?師匠。」


「雷魚は今日から正式に俺と一緒に過ごす…………家族?にならないか?」


「うん!師匠といたらたのしいもん!あと宝魚とも毎日遊べるし。」


「ありがとう…………雷魚…よろしくね!」


「うん!」






「それで今に至ったわけ。」


「へぇー、俺自分でも全然覚えてないや。あ、でも小魚拾ったときは覚えてるよ…」






雷魚が家族になってから2年後…雷魚はちかくの公園に遊びに行っていた………………………いつもは帰ってくる時間になっても帰ってこない…………シェイは心配になって公園に行ってみることにした。そして道中…………


「あ!雷魚!」


「師匠!」


シェイは走って雷魚のところに行った。


「師匠疲れたよ…………」


雷魚は水色髪の男の子をおんぶしていた。


「その子は?」


「この子公園の端っこに倒れていたの。小さいから多分誰も気づかなかったんだと思う。」


雷魚の言う通りかなり小さな子供だった。


「うーん。取りあえず連れて帰ろう。」


そして家に帰ってベットで寝かせていた男の子はうっすらと目を開けた。


「あ!目を開けたよ!師匠!」


師匠は走ってきて男の子に聞いた。


「君…………家どこか分かる?名前は?」


「家…………わからない。名前は…………小魚?」


「小魚?ほかに何かわかる?家族とか…………」


「死んだ?…………のかな?」


「うーん。雷魚とおんなじ感じか…」


雷魚と同じように小魚はシェイの家で過ごした。ポスターも町中にはったが誰も現れることがないまま1年後。


「ねぇ、師匠。もう小魚家族になっていいんじゃない?」


「うーんまぁ本人がOKなら…」


「もちろんOKだよ!雷魚兄ちゃんも師匠もやさしいし!宝魚と遊ぶの楽しいし!」


「よろしくな!」


2人が同時に言った。それに小魚はにっこり笑って


「うん!」


と応えた。






「そんなことあったっけ?」


小魚も全く覚えてないようだ。


「うーん、じゃあ、やっぱり師匠はなにもしらない。」


「うん」


「まぁ、いいや!いろんな事聞けたし」


そして一行はシェイに別れを告げて合宿所に戻っていく道中、話は師匠のことでとても盛り上がっていた。

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