第35話 匂い魔法

 魔法解除、魔法無効化、魔法吸収、思いつくのはこんな感じ。

 このどれだろうが、仕組みが解らなければ対処は無理。

 おっと、ナイフが飛んで来た。

 スローモーションなので、余裕で叩き落とす。


 ただ、この思考加速魔法は時間制限がある。

 無理すると脳にダメージが来る。

 何かヒントはないか。


 魔法を見て、呪文を推測する魔法を使おう。


「【文字置換】」


――――――――――――――――――――――――

文字置換スキル


┌────────────────────┐

│侍魔法言語変換            ▼│

└────────────────────┘


 【See the magic and guess the spell】


📕


 【掛かれ!! 一番槍は誰ぞ!! 矢!(驚) 一斉に放て、外すでないぞ!(驚) あ!! そんなに驚くことか!! [幕]むっ…… これは敵わぬ…… やるのう。ここからじゃ。く…… 誰ぞ呼べ…… [幕]本陣。そろそろ攻めるか。そりゃ!! よし、戦で解決じゃ!! 甲冑!(驚) 戦装束させよ!(驚) 殿との! むせぶでない、嬉しいなら、さらに励め! かっ、ぬかった…… 殿との、いかがなされた…… [幕]飢饉…… 買うしかなかろうな、商人を呼べ…… 乱世。影武者は必要じゃ。じゃのう。なんぞ策を考えねば。[幕]合戦だ!! 士気は高い、こたびは勝ちぞ!! 関所。なにっ、勝手に関所を普請していると。く…… 誰ぞ呼べ…… 家老! 大儀である! 掛かれ!! 大将首を取ってくるのだぞ!! [幕]むっ…… これは敵わぬ…… やるのう。ここからじゃ。く…… 誰ぞ呼べ…… [幕]家老! 裏切り者はその方か! 遅参じゃな。(驚) 鍛錬不足じゃな。(驚) む? それがしに下さるのか、無理難題の予感でござるか? 謀ったな…… ふむ、そちに申しても栓無き事、仔細承知したぞ…… 武者ぶり! 助かったぞ、あとで褒美を取らす! 】

――――――――――――――――――――――――


 無詠唱で実行。


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 推測される呪文。


【ちおあはもえべいあねとはもえをひりょえ】


――――――――――――――――――――――――


 くそっ、解るかこんなの。

 解析には月単位の時間が掛かる。

 とても間に合わない。


 血に魔法を付与した感じだが、血を使った理由でもあるのか。

 血に付与した魔法は毒ではなさそう。

 舐めてみよう。


 血の霧に手を入れて、舐めてみる。

 血の味と薬品の味、そして鼻につんと来る強烈な匂い。

 血を使ったのはこの匂いを誤魔化すだめか。


 なるほど匂い魔法か。

 これなら付与魔法は要らない。

 匂いは自然と付くものだからな。

 魔法を消す機能と併用してたわけじゃない。


 ならば消臭だな。

 消臭の原理なら解る。

 CMとかで見たからな。

 思考加速魔法を解除。


「【翻訳】」


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翻訳スキル

┌──────────┐ ┌──────────┐

│日本語      ▼│→│英語       ▼│

└──────────┘ └──────────┘


 消臭。


🎤


 deodorant

――――――――――――――――――――――――


「【文字置換】」


 文字置換での呪文はこんな感じ。


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文字置換スキル


┌────────────────────┐

│侍魔法言語変換            ▼│

└────────────────────┘


 【deodorant】


📕


 【茶の湯。(笑) 茶会じゃ仕度せい。(笑) 矢!(驚) ほう、飛んでいる鳥を落とすとは見事な腕じゃ!(驚) キンカンかっ? 不満か? 茶の湯。(笑) そちも列席してみるか。(笑) 天守じゃ。そうじゃ、ここは天守ぞ、どこにおるのか分からんほど酔ったのか。苦境…… 大したことなぞない、斬れば済むことよ…… 飢饉…… 天運に見放された…… 乱世。影武者は必要じゃ。むっ…… ここはじっくり行かねばな…… 】

――――――――――――――――――――――――


 無詠唱。


「【翻訳】」


――――――――――――――――――――――――

翻訳スキル

┌──────────┐ ┌──────────┐

│日本語      ▼│→│英語       ▼│

└──────────┘ └──────────┘


 送風。


🎤


 Air blower

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「【文字置換】」


――――――――――――――――――――――――

文字置換スキル


┌────────────────────┐

│侍魔法言語変換            ▼│

└────────────────────┘


 【Air blower】


📕


 【飢饉…… 買うしかなかろうな、商人を呼べ…… 斬れ! そこにおる者を斬れ! 苦境…… 七難八苦じゃな…… [幕]おっ、おのれ!! 伏兵か!! 武者ぶり! 存分に手柄を立てるがよい! キンカンかっ? 正直に言えば一度は許す、どちらが裏切り者じゃ? 不満じゃ。もっと良き話を持ってこぬか。死。死を覚悟してことに当たらねばなるまい。家中かちゅう! そやつが軍師なのか、つれて参れ! 】

――――――――――――――――――――――――


 無詠唱。

 風が起こり、血の霧は散らされた。

 やはり匂いの魔法だったらしい。


「遅いわ。もう別の香りをあなたは吸い込んでるのよ。弱い香りだったから、時間が掛かるのが難点。チェックメイトよ」

「ぐはっ!」


 盛大に血を吐いた。

 

「【翻訳】」


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翻訳スキル

┌──────────┐ ┌──────────┐

│日本語      ▼│→│英語       ▼│

└──────────┘ └──────────┘


 毒を消す。


🎤


 remove poison

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「【文字置換】」


 文字置換での呪文はこんな感じ。


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文字置換スキル


┌────────────────────┐

│侍魔法言語変換            ▼│

└────────────────────┘


 【remove poison】


📕


 【苦境…… 嘆くなら、殺してしまえ、苦境かな…… 死。天運じゃな。温泉。(笑) 余興も終わりか?(笑) さっ、一献。(笑) さあ、楽しもうぞ。(笑) 見事じゃ!(笑) 呵呵大笑かかたいしょうよな!(笑) 死。下戸なのじゃな、そんなものでは死なん。[幕]遅参じゃな。(驚) 評定を始めよ。(驚) さっ、一献。(笑) 礼など要らぬ、働きに応えただけよ。(笑) 酒。(笑) 誰ぞ歌え、舞え(笑) おのれ…… 死に芸は笑えたぞ…… 安穏じゃ! 片時の平和よな! 乱波? そうじゃ、適任が誰ぞおるであろう? 】

――――――――――――――――――――――――


 無詠唱。

 毒は消えた。


 人工細胞魔法が、傷ついた器官を修復した。


「まだやるか?」

「仕方ないわね。匂いを消す魔法を展開され続けたら手が出ない。防御魔法は苦手なの。退かせてもらうわ」


 女賞金稼ぎは去った。

 今回も強敵だったぜ。

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