文字置換で暗号化~異世界魔法帖、侍魔法創世記【表装】。俺が作り出した侍魔法言語は最強で、もはや解析不可能に近い~

喰寝丸太

第1部 プロローグ

第1章 ザコ手下編

第1話 雷球と避雷針

 俺は日本に住んでいたサラリーマンの西向にしむき重一しげいち


「シゲ! 見つけたぞ! 我々から逃げられると思うなよ!」


 こいつは、異世界で最初に出会って、色々と親切にしてくれた女性のフェアフェーレンをさらったレスティガー・ミステルの配下。

 レスティガーはフェアフェーレンの婚約者だが、クズ男。

 レスティガーの実家であるミステルは拷問で有名な魔法使いの門派。

 拷問が好む奴に、心を寄せる女性などいない。

 奴は拷問を楽しむ人間らしい。

 仕事で嫌々やっているのなら、まだましだが、楽しんでやっているあいつは救いようのないクズだ。

 戦いだな。

 望む所よ。


「御託は良い! 掛かって来い!」


 敵は呪文を小声で唱えた。

 小声で唱えるのは基本。

 なぜかと言うと、魔法呪文に使う魔法言語の性能の決め手は『神秘性』『規則性』『多様性』の三つだからだ。

 このうちの『神秘性』ってのは、その言語を知っている人間の数がどれだけ少ないかだ。

 少なければ少ない程良い。


 だから、魔法言語を盗まれないために、小声で唱えるのは基本。

 呪文詠唱に関して言うと、2種類ある。

 普通の詠唱と無詠唱だ。

 無詠唱をやるには、紙などに呪文を書いておく必要がある。

 普通の魔法使いは無詠唱はやらない。

 なぜなら、呪文を書いた物を盗まれたり、見られたりしたら、呪文を盗まれるからだ。

 ただし、呪文を知ったからと言って、完全に盗めたわけではない。

 魔法言語の文法、単語の意味、発音を理解していなければならない。


 しかも、ひとりが同時に使える魔法言語は1種類だけ。

 切り換えるには神に宣言しなくてはならない。

 この儀式には時間が掛かるため、戦闘中に切り換えるのは無理だ。

 しかも、神の審査があって、規則に違反していると、拒否される。


 敵の手にスパークが現れた。

 電撃かよ。

 まあ、問題ない。


 俺は避雷針の魔法を無詠唱で発動した。

 考えられる幾つかの攻撃の対処は予想してある。

 炎、石弾みたいな物理攻撃、水での窒息、毒、そう言う物に対する防御魔法はあらかじめ掛けてある。

 電撃の対処の避雷針魔法は、その都度で良いと思ってる。

 地面からニョキニョキと避雷針が生える。


 敵の放った雷球は避雷針に吸い込まれた。

 俺の魔法言語は、侍魔法言語だ。


 どうやって作ったかと言えば、こんな感じ。


 翻訳スキルを使って言語を選択。


――――――――――――――――――――――――

翻訳スキル

┌──────────┐ ┌──────────┐

│日本語      ▼│→│英語       ▼│

└──────────┘ └──────────┘


 ここに入力または貼り付け


🎤


 翻訳

――――――――――――――――――――――――


 そして。


――――――――――――――――――――――――

翻訳スキル

┌──────────┐ ┌──────────┐

│日本語      ▼│→│英語       ▼│

└──────────┘ └──────────┘


 地中の砂鉄で作った鉄の避雷針を出現させろ。


🎤


 Create an iron lightning rod made from iron sand underground

――――――――――――――――――――――――


 『🎤』は翻訳の実行。


 この英文を唱えたり、無詠唱してももちろん良いが、言語解析に人生を奉げているような奴らにはそのうち解析されてしまう。

 なので文字置換スキルで暗号化。

 スキルを起動するとこんな感じ。


――――――――――――――――――――――――

文字置換スキル


┌──────────┐ ┌──────────┐

│         ▼│→│          │

└──────────┘ └──────────┘


📘


 ここに入力または貼り付け   ▼


📕


 置換

――――――――――――――――――――――――


 左の枠が、置換する文字列、右が置換後の文字列。

 左の枠の『▼』は、あらかじめ登録しておいた置換リストを選べる。

 『📘』は置換リストと置換する文章の管理だ。

 入力の所の『▼』は置換する文章を登録しておいて、選べる。

 『📕』は置換の実行。

 リストは作ってあるので、『侍魔法言語パターン1』を選ぶ。

 文章を入れて文字置換。


――――――――――――――――――――――――

文字置換スキル


┌────────────────────┐

│侍魔法言語パターン1         ▼│

└────────────────────┘


 【Create an iron lightning rod made from iron sand underground】


📕


 【くっ、無念だ…… もっと早くあやつを斬ってしまえば…… 謀反だ!! こんな時にか、これも奴の策か!! む…… 戦じゃ、兵が足りん…… ふむっ。悔しいのう。おー!! 内政など知らん、戦じゃ!! む…… 戦じゃ、兵が足りん…… [幕]

 ふむっ。誰ぞ、おらぬか? 天下。(笑) くっ、わしの首はくれてやらんぞ!(笑) [幕]

 殿との! 如何した! 謀反だ!! 戦の準備を致せ、皆殺しじゃ!! さっ、一献。(笑) 水杯じゃ、勝って祝杯ぞ、はははっ。(笑) 天下。(笑) 快進撃じゃな!(笑) [幕]

 いかん退け…… 負け戦じゃな…… 殿との! ここは強気にでないといかんな! かっかっか!(笑) ちこう寄れ。(笑) 討ち死に! 青天の雷よな! おー!! 戦支度はできておろうな、出陣!! 天下。(笑) この戦いで天下が近くなったわ!(笑) 殿との! そちも楽しめ! 天下。(笑) 大儀であった、これからも励め!(笑) かっかっか!(笑) 誰ぞ、舞え!(笑) [幕]

 謀反だ!! 人質を殺してしまえ!! さっ、一献。(笑) 水杯じゃ、勝って祝杯ぞ、はははっ。(笑) じゃのう。愉快じゃのう、もっと楽し気な顔をせんか。[幕]

 ドンドン(太鼓)♪ 応戦じゃ、太鼓鳴らせ、ドドドン(太鼓)♪ ふむっ。もう、こんな所まで。じゃのう。なんぞ策を考えねば。む…… これは難しき問題ぞ…… [幕]

 籠城!! ほう、敵は籠城したか!! 謀反だ!! さっそく来たか!! さっ、一献。(笑) 水杯じゃ、勝って祝杯ぞ、はははっ。(笑) ドンドン(太鼓)♪ 退屈しておったところじゃ♪ [幕]

 殿との! 如何した! 謀反だ!! 戦の準備を致せ、皆殺しじゃ!! さっ、一献。(笑) 水杯じゃ、勝って祝杯ぞ、はははっ。(笑) 天下。(笑) 快進撃じゃな!(笑) [幕]

 掛かれ!! 一番槍は誰ぞ!!  ふむっ。気を引き締めよ。天下。(笑) まだ、遠いのう、ふふふっ(笑) じゃのう。愉快じゃのう、もっと楽し気な顔をせんか。[幕]

 槍じゃ!(驚) 拙者に頂けるので?(驚) 天下。(笑) 天下を取った暁には望みの恩賞を与えるぞ!(笑) じゃのう。愉快じゃのう、もっと楽し気な顔をせんか。む…… これは難しき問題ぞ…… 謀反だ!! こんな時にか、これも奴の策か!! かっかっか!(笑) 蹴散らしてくれるわ!(笑) 謀反だ!! 捻りつぶしてくれるわ!! さっ、一献。(笑) 水杯じゃ、勝って祝杯ぞ、はははっ。(笑) 槍じゃ!(驚) 芸をひとつ。(驚) 天下。(笑) 天下を取った暁には望みの恩賞を与えるぞ!(笑) じゃのう。愉快じゃのう、もっと楽し気な顔をせんか。】

――――――――――――――――――――――――


 こんな長いの唱えるのは怠いから、もちろん無詠唱。

 『侍魔法言語パターン1』を作ったのは過去の話。

 思い出すこともあるだろう。


 相手の攻撃は防いだから、こっちの番だ。


――――――――――――――――――――――――

あとがき

 超手抜き小説です。

 呪文はプログラムで作ってます。

 1話を20分ほどで書きました。

 全部がこんな感じではないですが、おおむねこんな感じです。


 第1章の全4話は、戦い。

 第2章の全4話予定は、ヒロインとの出会いとさらわれての別れ。

 第3章の全4話予定は、侍魔法言語の開発。

 第3章ではどうやって文字置換で暗号化を成し遂げているのか詳しく説明します。

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