妖狩
定春
EPISODE1「妖狩」
時は2011年の日本、この国は4つの壁により東西南北に分断され、人々はそんな世界でも必死に生きてるそんな世界だ。
突然だが場所は東京の中高一貫校に移ろう。そこの
1年C組の教室、窓際の席で机に頬杖を付いている少年がいた。耳は周りの生徒の声を拾う
「なぁ聞いたか、最近ウワサの!」
「あー聞いた聞いた、巷で有名な『赤マフラー』だろ?」
「なんかそいつに助けられたってスレもあったんだぜ!?」
少年はその話題に少し興味を持ちつつも
「(そんなものいるわけない…普通に変質者だよ)」
と都市伝説を否定した。その時「なぁヒカル!」
クラスメイトに声を掛けられ、「うん?」と返す。「なぁ知ってる?バケモノの噂!」「バケモノ?」少年は興味なさげだが、クラスメイトの男子は目を輝かせながら話し続けた。
「最近この辺りで殺人事件が多いんだよ…しかも殺され方がまた変なんだ」
男子が語るには殺され方はいずれも斬殺、被害者は皆胴体を真っ二つに切断されて見つかっているという。
「それがバケモノ?は、どうせフェイクでしょ?今はネットで合成とかできる時代だし、通り魔とかを誇張したんじゃないの?」
少年は全く信じない。
「たく、可愛げもねーなぁ。都市伝説信じないくせに一丁前にヒーローには憧れてるくせに。」「うるさいな!」
ーPM17時 45分 放課後ー
先程の全く霊的なものを信じない少年の名は
「一之瀬 光(ヒカル)」
ヒーローに憧れ、『誰かのヒーローになりたい』少年だ。そのヒカルは自宅のアパートに帰宅し、入り口に大家が見え、「ただいまですー」と挨拶をした。
「ん?」
しかし大家から返事が無い
「お、大家さーん?」
すると大家の胴体に切れ込みが浮き出て、下半身を滑るように地面に上半身が落ちた。
「え、あぁぁ!」
コンクリの地面に血溜まりができ、やがて下半身も力が抜け倒れた。ヒカルはあまりのショッキングな光景に腰を抜かした。すると
「ヒャッヒャッヒャッ…!」
とアパートの屋根の上に不審な男が立っており、ヒカルを見るや
「次のターゲットだ…」
と呟き、ヒカルの目前に突然現れた。いやただの人間ではない。両手に鎌が刺さっているまるでカマキリの様だ。
「(コイツが噂のバケモノ…!?ほんとにいたのか…切り裂き魔!立て…立て!くそ、足上がれよ!)」ヒカルは腰が抜けた時の対処法が分からず右足を叩き、ようやく腰が上がって立つことが出来た。「あ?何だ、俺に立ち向かうってか!?人間のガキが…!?笑わせるぜ!」
蟷螂男が鎌を振るうと目に見える程の斬撃波が出現。ヒカルは間一髪で避けたものの、顔に小さな切り傷が出来た。ヒカルはアパートから離れ、広い林まで逃げた。
ーPM17時 58分 ー
しかし林に着くや蟷螂男がすでに目の前に立っていた
「ど、どうやって…」「所詮猿の理解力じゃ解らんよなぁ俺達『妖(あやかし)』は」「あや…かし?」
「さぁ本日12人目の獲物だぁ」ヒカルは衝撃を受けた。
「1日で…大家さんのような人が12人も…お前…!」
「ビビってるくせによぉ。一丁前に獲物がほざくな、死ね!!…ん?」
するとある音が聞こえた。何かが林に近づいてくる…バイクの音だ。すると遠くからバイクに乗った男が見えた。木々を駆け抜け、飛び出し、後輪で蟷螂男の顔を轢いていったのだ。
男はヘルメットを脱ぎ、素顔を現した。
銀髪のウルフカットで黒い防護服を身に纏い、例の『赤いマフラー』を首に巻いていた。
「!? 赤いマフラーの男、こっちもほんとにいたのか…」
こうしてヒカルはこの一夜で都市伝説の存在を一気に知り最早信じた方が手っ取り早いことになった。
「おい少年!」「え、僕?」
「あ、そう君。安全なとこまで走れ…!」ヒカルはその青年の言う通りにし、木の陰から見守ることにした。そして蟷螂男は轢殺されるはずも無く、普通に立ち上がった。
「その赤いマフラー…まさかお前は…妖を狩る妖…『妖狩(エージェント)』!?」
「ピンポーン。大正解だ。公安警察及び妖狩の命により、蟷螂男アンタを倒す!」
EPISODE1「妖狩」完
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